【第50回】改めて表現の自由とは何を保障しているのか③ レペタ訴訟 #山花郁夫のいまさら聞けない憲法の話｜山花郁夫

ワシントン州弁護士・レペタさんの闘い「荒れる法廷」対策として、今度は裁判所の秩序維持に振り子が大きく触れました。裁判所の規則で、かつて法廷の入り口には、撮影や録画と並んで、無許可でメモを取らないようにという張り紙がされていました。 この状態がずっと続いていると、日本人は、まぁ、そういうものだと慣れっこになってしまって、問題意識を持たなかったのかもしれません。ところが、アメリカで弁護士資格を持つレペタさんは、これをおかしいと感じたのです。 レペタさんは、国際交流基金の特別研究生として、日本の証券市場の法的規制を勉強していました。この研究目的のため、東京地裁で所得税法違反事件の傍聴をしていました。 法廷での弁論のやり取りを記録し、研究資料に役立てたいと思って、開廷中(裁判の最中)にメモを取り始めたところ、廷吏(裁判所の係員)からメモを取ってはならないと通告されました。何でメモを取ってはいけない