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長崎宏子の涙は尽きたのか。<オリンピック4位という人生(5)>(鈴木忠平)
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長崎宏子の涙は尽きたのか。<オリンピック4位という人生(5)>(鈴木忠平)
長崎宏子の涙はようやく止まったという。それまではあのロサンゼルスでの決勝レースに話が及ぶとどうし... 長崎宏子の涙はようやく止まったという。それまではあのロサンゼルスでの決勝レースに話が及ぶとどうしようもなく泣けてしまったのだが、40歳を越えたくらいから、向き合えるようになったという。 「たまに講演など依頼されることがありまして、どうしてもあの時のことを話さざるをえなくて、そうすると涙が出てきちゃう。だからあまり話したくなかったんですけど、ここ10年くらいで受け入れられるようになってきたんです。今はどこにいても素でいられる。本当にね、アラフィフって最強です。50歳になった途端に世の中、怖いものが何もなくなったんです」 今年7月で51歳になった長崎が笑う。 ただ、成熟した強さのうらに一瞬、ほんの一瞬だが、あのころのままの透明感や少女性が垣間みえる。それが不思議だった。 「終わったときが怖かったんです」 1984年7月30日、南カリフォルニア大学のプールに降り注ぐ陽射しは人も水も建物も黄金色に