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芥川龍之介 黒衣聖母
――この涙の谷に呻(うめ)き泣きて、御身(おんみ)に願いをかけ奉る。……御身の憐みの御眼(おんめ)を... ――この涙の谷に呻(うめ)き泣きて、御身(おんみ)に願いをかけ奉る。……御身の憐みの御眼(おんめ)をわれらに廻(めぐ)らせ給え。……深く御柔軟(ごじゅうなん)、深く御哀憐、すぐれて甘(うまし)くまします「びるぜん、さんたまりや」様―― 「どうです、これは。」 田代(たしろ)君はこう云いながら、一体の麻利耶観音(マリヤかんのん)を卓子(テーブル)の上へ載せて見せた。 麻利耶観音と称するのは、切支丹宗門(きりしたんしゅうもん)禁制時代の天主教徒(てんしゅきょうと)が、屡(しばしば)聖母(せいぼ)麻利耶の代りに礼拝(らいはい)した、多くは白磁(はくじ)の観音像である。が、今田代君が見せてくれたのは、その麻利耶観音の中でも、博物館の陳列室や世間普通の蒐収家(しゅうしゅうか)のキャビネットにあるようなものではない。第一これは顔を除いて、他はことごとく黒檀(こくたん)を刻んだ、一尺ばかりの立像である。