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南宋版『天竺霊籤』原本再現の試み
本稿は、中国最古の図入りの御籤といわれる『天竺霊籤』の原本を想定し、欠損や後補版の図を再現するた... 本稿は、中国最古の図入りの御籤といわれる『天竺霊籤』の原本を想定し、欠損や後補版の図を再現するための方法を考察したものである。この『天竺霊籤』は南宋時代に刊行されたものと考えられている(以後、南宋版と呼ぶ)。現存するのは86枚で、その中には文字や図の部分的な欠損、後補版が含まれていると考えられている。南宋版と同じ漢詩を伴う御籤は後代に継承され、中国では明代(以後、明版と呼ぶ)、日本では17世紀以降の御籤本が現存する。日本には図も含めて、様々な種類の『天竺霊籤』系統の御籤本が刊行され、100籤が揃っていることから、本来の南宋版も100籤100図から構成されていたと考えられている。本稿では日本の御籤の中で最も中国の御籤を継承する日本の元禄8年(1695)『観音籤註解』(以下、元禄版と呼ぶ)と、南宋版や明版の現存図を手掛かりに、南宋版本来の図を想定し、欠損頁及び後補版の図を補う方法を提示すること