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日本の古本屋 / 『紙が語る幕末出版史 『開版指針』から解き明かす』
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日本の古本屋 / 『紙が語る幕末出版史 『開版指針』から解き明かす』
大学時代の恩師・内田保廣先生から「国会図書館に『開版指針』という写本があるのだが、その本の紙が明... 大学時代の恩師・内田保廣先生から「国会図書館に『開版指針』という写本があるのだが、その本の紙が明治期かどうか確認して欲しい」旨のメールを受け取り、早速現物を調査した。これが『開版指針』との出逢いである。結果として料紙にパルプ原料は用いられていなかった。これはつまり、明治期以降の紙とは断定できず、江戸期写本である可能性が充分にあることを示している。神保町のランチョンで結果報告をすると「じゃあ読んでみようか」と先生がおっしゃる。その日から『開版指針』と格闘すること数年、やがて博士論文として提出、学位を授与されることとなった。 とはいえ論文中で用いた新しい手法である料紙観察に異論がなかったわけではない。文献の記述内容と紙質調査を組み合わせる考察に対して「水と油」と言われたことがある。そういわれても決してへこむことはなかった。水分と油分ならばしっかりと撹拌してドレッシングにすればいいのよね!という