若者の無業化に対する世帯収入の影響とその変化 | Theoretical Sociology

玄田 有史, 2007, 「若年無業の経済学的検討」『日本労働研究雑誌』567 : 97-112（読んだのは、『人間に格はない』所収のもの）. 若者の無業化に影響する要因（特に世帯収入）について分析した論文。焦点が明確にされていないまま分析に突入するという点では、あまりよい論文とは言えないのだが、議論の流れを見る限り、世帯収入の効果に特に関心があるようである。とうぜん世帯収入が高ければ無業であっても就職するインセンティブは弱まるので、無業のまま求職しなかったり、そもそも就職を希望しないことが予測される。玄田は、1992, 1997, 2002の就業構造基本調査80%抽出データを使い、15〜34歳の未婚者にサンプルを限定している。その上で、無業者を、求職型（いわゆる失業者にほぼ対応）、非求職型（就職を希望しているが、職探しは具体的にしていない）、非希望型（就職を希望していない）に分類し、有業

[jiangmin-alt]

"理論的な説明のはっきりしないデータの挙動にフォーカスしても、けっきょく様々な憶測を生むだけで、あまり立派な研究成果とはいいがたいという印象を受けてしまう"

[iDES]

世帯収入が高い方が無業傾向がある→その効果が薄れてきた。その理由は低世帯所得層がこの間に無業化しやすくなったため。