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名は体を表さず?―中世東西アジアのラカブと官途受領名―
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名は体を表さず?―中世東西アジアのラカブと官途受領名―
世間は大学入試の時期ですが、高校世界史でムスリム人名に「イブン・○○」が頻出して辟易した人は多いと... 世間は大学入試の時期ですが、高校世界史でムスリム人名に「イブン・○○」が頻出して辟易した人は多いと思います。あれは「ナサブ」と言って「誰々の息子(あるいは子孫)」を表すものです。例えば、「イブン・ハルドゥーン」なら「ハルドゥーンの子孫」の意で、事実上の苗字のようなものです。 ムスリム人名の構成要素は他にイスム(本人の名前)、ニスバ(出身地など)、ラカブ(綽名・尊称)、クンヤなどがあります。 クンヤは「アブー・○○」=「○○の父」、「ウンム・○○」=「○○の母」の形を取り、基本的に○○には長男の名前が入ります。ただし、クンヤは人物の綽名に使われることもあり、初代正統カリフ「アブー・バクル」は「ラクダの親父」、つまりラクダのような人の意になり、猫好きで知られる教友「アブー・フライラ」は「子猫の親父」、つまりにゃんこ親父くらいの意になります。 さて、今回の主題はラカブの話。 有名どころで言えば、