日本人のリテラシー : 書評 : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE（読売新聞）

幻想だった教育大国 好著が出版された。しかし、その内容は、この国の自信を揺るがしかねないものだ。 これまで日本人は自負をもってきた。江戸時代以来、この国の民は教育水準が高かった。識字率はヨーロッパを凌（しの）いで世界一。男女・階層を問わず字が読めた。この民の賢さこそが、この国の成功のもとであった。 日本人は漠然とそう考えてきた。ところが、本書は、この「常識」に対し、実証データでもって傾聴すべき反証をつきつける。 著者が、過去の識字率を推計していく手法はユニークだ。明治以降は文部省の統計と陸軍省の壮丁教育調査（新兵の識字調査）資料があるが、江戸以前に、そんなものはない。そこで筆者は戦国期の筆記能力を、花押で署名するか筆軸印など符牒（ふちょう）で済ませるかで推測。江戸期になると、名主の入札（いれふだ）（選挙）も行われるから、その投票用紙を探し出してきて検討している。 その結果、発見されたのは「

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　「著者が、過去の識字率を推計していく手法はユニークだ。明治以降は文部省の統計と陸軍省の壮丁教育調査（新兵の識字調査）資料があるが、江戸以前に、そんなものはない。そこで筆者は戦国期の筆記能力を、花押で

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「識字格差」

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「江戸時代以来、この国の民は教育水準が高かった」「本書は、この「常識」に対し、実証データでもって傾聴すべき反証をつきつける」ほほぉ。これは一部の人たちが頭から湯気たてて怒りだしそうな