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3月3日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
評論家の小林秀雄、中村光夫、作家の水上勉、3氏が講演旅行をしたときという。三重県松阪市の宿で迎え... 評論家の小林秀雄、中村光夫、作家の水上勉、3氏が講演旅行をしたときという。三重県松阪市の宿で迎えた朝、小林の姿が見えない。中村氏が近所を探し、公園のベンチに座って講演の練習をしているその人を見つけた◆「昨夜は、聴衆の手応えがなかったので…」。そう語ったという。〈その日、その日が勝負だった。投げやりな一日とてなかった先輩たちの修羅である〉と、水上さんが著書『文壇放浪』(新潮文庫)で回想している◆小林が晩年の大作『本居宣長』について国学院大学で講演した録音テープが見つかった。4月にCDの形で発売されるという◆同書は小林の思索の到達点とされ、録音テープはその成立過程をたどる貴重な資料である――といった学問的な関心は薄い人も、“修羅”をくぐり抜けた話術がどういうものであったか、ちょっと心が動くに違いない◆小林は『批評家失格』と題する一文に批評の気構えをつづっている。〈毒は薄めねばならぬ。だが、私は
2010/03/03 リンク