こうの史代の同名漫画を原作に、2016年に日本で予想外の大ヒットを記録し、異例のロングランを達成したアニメーション映画『この世界の片隅に』。多方面より多くの賛辞が送られている作品だが、そこに“さらにいくつもの”シーンを製作し、本編に追加したのが、新たに劇場公開された、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』である。 もともと、日本の劇場アニメーションとしては、129分という長めの上映時間だったオリジナル版だが、本作は加わったシーンによって、168分と、3時間に迫る大長編作品となった。 ここでは、加えられたシーンによって何が変わったのか、その考察にくわえ、この機会にもう一度本作全体を総括し直してみたいと思う。 『この世界の片隅に』は、日本が戦争に突き進み敗戦を迎えるまでの昭和の時代を背景に、広島から呉へと嫁いだ、絵を描くことが大好きな“すずさん”を主人公に、戦争のなかの日常と、戦争によってあ