作家の三島由紀夫(1925~70)が16歳の時に書いたデビュー作「花ざかりの森」など初期4作品の直筆原稿が熊本市で見つかった。三島の才能を見いだした同市の国文学者、蓮田善明(1904~45)の遺族が9月、同市のくまもと文学・歴史館に寄贈した関係資料に含まれていた。研究者は「三島文学を研究する上で貴重な資料。ともに国を憂えて自決した2人の精神的なつながりの深さも裏付ける」と指摘している。 4編の原稿は400字詰めで、ひもでとじてあった。同館は、完全に解読できる保存状態であり、蓮田家が約70年間大切に保存していたことなどから、直筆に間違いないとみている。 4編は、蓮田が発行兼編集人を務めていた同人誌「文藝文化」の41年9月号から43年9月号にかけて初掲載。後に単行本や全集にまとめられたが、直筆原稿はいずれも長く所在が分かっていなかった。 花ざかりの森は、三島が学習院中等科在学中に執筆した