親の介護がからみ、きょうだい間で相続トラブルになるケースがあります。介護をした人の貢献が相続においては認められにくいことが、問題を複雑にしているようです。 「母に対する介護の苦労は、相続の場では評価されませんでした」 昨秋、家庭裁判所で弟たちとの調停を終えた中部地方の70代の男性はそう振り返る。 3年前、認知症だった90代の母を亡くして間もなく、離れて住む弟が久しぶりに自宅を訪ねてきた。男性の家の敷地は母との共有になっていた。遺産分割のために家を処分し、換金してほしい、と言われたという。 近くに住む母が要介護状態になってから10年余り、男性は妻とともに母の介護を中心に生活してきた。ヘルパーの助けを借りつつ、妻は自宅近くで一人暮らしをしていた母の家に毎日通い、食事の用意など身の回りの世話をしてきた。母の認知症が進み、施設に入ってからも頻繁に訪問。男性は60歳を超えても仕事を続けていたが、母の