「中華民族の偉大なる復興」を掲げる習近平への権力集中が進む現代中国。愛国イデオロギーが強化されるなかで中国国民が「盛世」に酔う一方、アメリカを中心とした国際秩序への挑戦を露骨に示した中国と、世界との亀裂と分断は深まりつつある。そんな中国の現在と未来をかんがえるうえで、日本独自の「東洋史」という学問の視座は大変有用だ。前編に引き続き、京都府立大学教授で東洋史研究者の岡本隆司氏と、東洋史出身の中国ルポライター・安田峰俊氏の「東洋史対談」をお届けする――。(後編/全2回) 内藤湖南から始まる「中国ジャーナリズム」の意義 (前編から続く) 【岡本】日本の中国関係の言説は、歴史や古典の世界と、現代中国の議論が断絶しがちです。もはやこれは体質的なものでもありますが、東洋史や中国文学の研究者は現代中国を論じたがらない。逆に現代中国に関連するジャーナリストや言論人の多くは、歴史や古典の知的蓄積がとても薄い
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