原宿駅付近から渋谷方面を望む。今から90年前は草むらや沼地ばかりの荒れた土地だったが(上)、現在は豊かな森が広がる(下)。 写真:明治神宮(クリックで拡大) 実際の森づくりは、まずこの土地にすでにある木を生かすことから始まった。将来の主木にするためカシやクスノキなどの常緑広葉樹が育つまでには相当な時間がかかる。それまでは、今ある木々を活用しようというわけで ある。 この発想をもとに考え出されたのが、前編で掲載した 「明治神宮御境内林苑計画」に記されている四つの段階の「森づくりの工程表」だ。 「明治神宮御境内林苑計画」は、造園家の本郷が著したもので、森林造成計画の記録書であり、森林管理の指南書である。和綴(と)じにされ、歴史を感じさせるその書物をめくっていくと、「林苑の創設より最後の林相に至るまで変移の順序(予想)」とあり、50 年後、百数十年後の森林の変化が、4 段階の林相予想図として描か