夢中な「何か」見つけて大好きで夢中になれる「何か」を見つけてほしい。それはきっと、海に投げ出された時にしがみつけるブイのように、つらい現実に溺(おぼ)れそうな自分を救ってくれる。 小中学校のころ、友だちとうまく付き合えなかった。教室で数人ずつの班(はん)を作る時、自分だけ余ってしまうこともよくあった。学校は楽しい場所では全くなく、周囲から「友だちがいない」と見られていると思うたび、自分が恥(は)ずかしく、心配する親にも申し訳なかった。 そんな私を救ってくれたのはフィクションの世界だった。当時の自分を振り返ってみて、そう悪い少女時代でもなかったと思うのは、ゲームやアニメ、ライトノベルにのめり込み、それらの世界を、教室の現実と並行して楽しんでいたからだと思う。 読書やゲーム、アニメのような1人でできる楽しみは、しばしば「暗い」「オタク」だとバカにされる。実際、私もそれでつらい思いをした。でも、
![《いじめられている君へ》辻村深月さん:朝日新聞デジタル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/652398083ed3b833603e2ba49612ce383085191c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.asahicom.jp%2Fspecial%2Fijime%2Fimages%2Ft_TKY201207270674.jpg)