──平成の30年間は「20世紀」から「21世紀」に変わる時代でもありました。2001(平成13)年の世紀の切り替わりは、宮部さんにとってどのような意味がありましたか。 私の中で、20世紀と21世紀では大きな違いがあります。具体的には、『模倣犯』(2001年)を機に、ハードな事件を扱った現代ミステリーを書くのがつらくなったのです。作り話とはいえ、この作品では何人もの女性の被害者を登場させ、ひどい殺され方をさせ、自己嫌悪になってしまった。親しい編集者にも、「現代ミステリーはもう書かない」と宣言したほどです。 それは、現実の社会で突拍子もない事件が起きていることとも関係しています。たいした動機もなく大勢の人が殺されてしまう。ありていに申し上げますと、怖くなってしまって。こんなに凄惨な事件が起きているのに、フィクションの世界でも事件をリアルに書くのは嫌だな……と思うようになってしまったのです。
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