「選択をすることは、将来と向き合うことだ。一時間後、一年後、あるいはさらに先の世界を垣間見て、目にしたものを基に判断を下す。その意味で、私たちは誰もがアマチュア予言者である」。これは、選択に関する研究で知られる社会心理学者、シーナ・アイエンガーが著書の中で記した言葉です。私たちは日々の歩みの中で、大小さまざまな選択を繰り返しながら未来へと進んでいきます。特に、進学先や就職先といった進路に関わる選択は、「将来こうなりたい」と願う自分のイメージを見据えて行う、重要な判断といえるかもしれません。しかし、私が自らの進路選択を思い返して実感していることはその逆です。将来の自分を思い描き、それに沿って満を持した選択を行ったのではなく、むしろいくつかの選択の連鎖を通じて、初めて自分の進むべき道が見えてきたと感じるのです。ここでは、そのような私の経験について少し書いてみたいと思います。 私は今、社会心理学