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  • ある冬の戦争の始まり - リアリズムと防衛を学ぶ

    モスクワにとって、それは安全の問題です。徐々に強大化している西方の敵対勢力がその地域に進出すれば、居ながらにしてロシア人の主要都市を脅かすことができます。 だからその国を緩衝地帯、あるいは衛星国に変えてしまわねばならないのです。相手は小国。軍事力の優位はモスクワにあります。国境に大軍をはりつけ、それを背景にした交渉を行えば、緩衝地帯をもぎ取れるでしょう。 しかし、もし交渉相手がどうしても首を縦に振らない時には? その首は切り落とされるのがお似合いです。 1939年の冬に戦争が始まり、ソビエト連邦がフィンランドを侵略したのは、大略そのような理由でした。 戦争放棄の国際法を無視し、他国の主権を踏みにじる侵略。それをソビエト連邦はどのように正当化し、国際社会はどう反応したのでしょう。 戦争原因 緩衝地帯たるべきカレリア地峡 カレリア地峡 ロシアとフィンランドの国境にある、海と湖に挟まれた陸地がカ

    ある冬の戦争の始まり - リアリズムと防衛を学ぶ
    filinion
    filinion 2022/02/16
    つまり、国際社会が(遠方でも)結束し、「侵略行為は許さない!」と声を上げ、行動せねばならないと…。この時フィンランドを見捨てたのと同じようにチェコスロバキアを見捨てた結果、第二次大戦の惨禍が起きた…。
  • 真珠湾と原爆について思うこと - リアリズムと防衛を学ぶ

    永井陽之助の著書の中に、こんな懐古の一節があります。アメリカでの体験談です。 ある一般市民の会で、たまたま私がヒロシマの原爆投下に言及したとき、間髪をいれず、「パール・ハーバーはどうした」という反撥がかえってきた。 この経験は、私一人だけのものではない。繊維産業から自動車にいたる日米経済摩擦でどれほどパール・ハーバーの語が米国の議員・ビジネス指導者の口からもれたことか。 (「歴史と戦略 (中公文庫 な 68-2)」p20) 卑怯な日、非人道的な日。その象徴がパール・ハーバーでした。奇襲攻撃を受けた側にとって、これは自然な記憶の仕方かもしれません。 多くの日人にとって不可思議なことは、それが原爆投下と交換できることのように語られてきたことです。永井は、著書の中でこう続けています。 長崎への原爆投下の数日後、トルーマン大統領自身、友人にあてた私信で、「私ほど原爆投下で心を乱されたものはい

    真珠湾と原爆について思うこと - リアリズムと防衛を学ぶ
    filinion
    filinion 2017/01/02
    自らを正義に、相手を悪に仕立て上げるのは有効な戦術だが、自らがそれを信じると妥協の余地がなくなる…と。だが、国家がその戦術を用いる時、真っ先に信じるのは(そして信じさせようとするのは)自国民だと思う。
  • ネバー・アゲイン・レゾルーション(二度と繰り返さない決意) - リアリズムと防衛を学ぶ

    手痛い失敗経験はその後の行動に大きく影響します。そして「二度とこんなことは繰り返すまい」と思うのですが、そんな決意が報われるとは限らないのが、この世のままならないところです。個人であれ国家であれ。 リアリズムに従えば、日は軍事大国になるはずだった 高度経済成長を遂げた日は、その経済力を格的に軍事力に転化し、ふたたび軍事大国となって、核武装も検討し、アメリカから独自の行動をとりはじめるだろう、と見られていました。 そのように観測していたのは、リアリズム学派の国際政治学者たちです。国際政治学のリアリズムは、ざっくり言うと、国家は軍事力を中心とする力を高めることに執着する等、力に重きを置いた仮定に基づく見方です。 なお、口語でいうリアリズム、現実をありのままに捉えているかどうかとか等とは殆ど関係がありません(国際政治学徒だってカントくらいは聞きかじっているのですし)。だからリアリズムという

    ネバー・アゲイン・レゾルーション(二度と繰り返さない決意) - リアリズムと防衛を学ぶ
    filinion
    filinion 2015/08/16
    戦争の悲惨さから、日本と中国は違う教訓を得た…。まあ当然ではある。立場が全然違ったわけで。/「リアリズム学派」は別にリアリストなのではなくて、「パワー・ポリティクス学派」ほどの意味…なるほど確かに。
  • 読んだ本「陸上自衛隊 普通科連隊の仕事」 - リアリズムと防衛を学ぶ

    自衛隊の普通科連隊がどんな風に仕事をしているかがイメージできるようになるです。新着任の連隊長が、連隊を改革していく、という筋立てを中心にしています。 「普通科」と言うと、工業科や商業科に横並んで、高校選びでもしているように思います。 自衛隊の「普通科」といえばこれは「歩兵」のこと。小銃をもって戦い、土地を占有する機能をもつ、陸上部隊の根幹です。自衛隊の中でいわゆる「兵士」のイメージにもっとも近いのは、普通科の隊員でしょう。 歩兵の領 このを読むと、普通科連隊、そしてその隊員がどんな仕事をしているのか、どんなムードなのかが何となくわかります。例えば普通科の質は、このように描写されています。 普通科部隊、歩兵部隊、インファントリー、なんと呼ばれていようとも、この職種に特に要求され、われわれみずからが磨いていかなければならないものは、兵士が一対一で決闘をするときの戦闘意思と、相手をしのぐ

    読んだ本「陸上自衛隊 普通科連隊の仕事」 - リアリズムと防衛を学ぶ
    filinion
    filinion 2015/07/27
    まあ…島嶼国家の「自衛」隊である限り、海上防衛が優先で陸自は後回しだよね…。/日本の新型戦車、10式は120mm積んでる…けど、中国の99式は125mm主砲と対戦車ミサイルを積んでる上に、数もこっちより多いという…。
  • 少子化が進むと徴兵制は復活するか? シンガポールの場合 - リアリズムと防衛を学ぶ

    先進国を中心とする多くの国で、少子化が進んでいます。若者の総数が減ると、若い兵士を必要とする軍隊はいつか徴兵制をふたたび採用するでしょうか? 現代では志願兵制が主流 軍隊の採用制度は、傭兵制を除けば、徴兵制と志願兵制に分けられます。第二次世界大戦の頃は、大日帝国がそうだったように、徴兵制が主流でした。しかし現代では志願兵制が主流に変わりました。 第二次世界大戦の頃は、自国が滅ぶか敵国を滅ぼすかという全面戦争の時代です。それには数百万の兵士が必要で、そんな人数をまかなうには志願者だけでは足りないことから、徴兵制が重要でした。 しかし戦後は核兵器が普及したことで、状況が変わります。核武装した大国の間では、通常兵器による全面戦争は起こらなくなりました。 逆に地域や争点を限定した、局地戦争が増えました。その上、PKOや災害救助といった戦争以外の海外派兵が出現。兵器と戦術が高度化したこともあり、兵

    少子化が進むと徴兵制は復活するか? シンガポールの場合 - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/07/19
    いやいや、その理屈だと、軍用ロボットの導入を阻止したら、人口が減る国ではますます徴兵が現実的になるじゃん。なんで「徴兵を怖れる人はむしろ軍用ロボットを懸念すべき」って結論になるんだ。
  • Nuclear peace 〜核兵器による平和(のようなもの) - リアリズムと防衛を学ぶ

    平和は、それを祈ることは簡単ですが、作ることは難しいものです。 過去の記事では、リベラリズムの議論の中から商業的平和論(Capitalyst Peace)を簡単に紹介しました。「経済発展や貿易、投資が進めば戦争を減らせる」という議論です。 今回はその対極として、リアリズムの議論から、核による平和(Nuclear Peace)を紹介します。被爆国日において、核兵器と戦争はほぼ同一の文脈で語られ、いずれも平和の大敵です。しかし国際関係論の中では、核兵器は戦争を減らし、平和をもたらしたという議論が強い説得力を持っています。 「絶対兵器」核兵器はそれ以外とどう違うか 広島と長崎への原爆投下は、大きな衝撃をもたらしました。核兵器が世界に与える影響を具体的に考え、いち早く明らかにしたのが卓越した文民戦略家バーナード・ブロディです。 1946年に出版された彼の編著書「絶対兵器」は、原爆投下から半年以内

    Nuclear peace 〜核兵器による平和(のようなもの) - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/05/31
    相互確証破壊による「平和」。でも、誤警報による偶発核戦争の危機は実は冷戦中に何度も起きていたわけで。テロリストやならずもの国家より、大国の方が危険だった。/ミサイル防衛は「楽観的誤解」を生む…かもな。
  • 「中国を抑止する列島線防衛は陸上戦力で」アンドリュー・F・クレピネビッチ(How to Deter China -the Case for Archipelagic Defense) - リアリズムと防衛を学ぶ

    戦略予算評価センター(CSBA)のアンドリュー・F・クレピネビッチが、フォーリンアフェアーズで対中国抑止における陸上戦略の重要性について論じています。 中国の野心を抑え、戦争を防ぐには「拒否的抑止」を達成する必要があり、そのために米国と同盟諸国は第1列島線にそって「列島線防衛(archipelagic defense)ライン」を構築せねばなりません。そこでは空海軍力だけではなく、意外にも陸上戦力が重要だ、という議論です。 中国の海洋進出とA2AD戦略 中国は経済発展に従い、海軍、商船隊、沿岸警備隊といった海上権力を増大させて、長期的には西太平洋を支配しようとしていると見られています。そのうち軍事力を用いた有事の戦略が「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略と呼ばれるものです。クレネビッチはその内容について、こうまとめています。 中国軍は、他国の軍隊が領域を占有したり、近海を通過したりするのを

    「中国を抑止する列島線防衛は陸上戦力で」アンドリュー・F・クレピネビッチ(How to Deter China -the Case for Archipelagic Defense) - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/05/09
    列島線防衛が目的なら、「中国海軍に対抗するため海自の増強を!」とか艦隊決戦志向に血道を上げるより、陸地に対艦ミサイルとか並べた方が安価で強力だ、と。
  • 平和はやっぱりカネで買える。ガーツキーの商業的平和論(Capitalist peace) - リアリズムと防衛を学ぶ

    前回の記事平和はカネで買える。商業的平和論(Capitalist Peace )のはじまり - リアリズムと防衛ブログでは、経済発展が世界を平和にするという商業的平和論の歴史を簡単に紹介しました。 ノーマン・エンジェルは、工業化とグローバル化によって、近代戦争はたとえ勝利してさえ利益を得られないものになったと説きました。政治指導者がこのような現実をよく理解するならば、大国間戦争はもはや起こらないだろう、と議論しました。 その直後、2度の世界大戦が起こったことで、商業的平和論は猛烈な批判にさらされます。経済相互依存がいくら進んでも、だからって戦争が無くなることはないのです。 一方で、経済は戦争を「無くす」ことはできないけれど、「減らす」効果があることは明らかになっています。ガーツキーの議論がそれです。 ガーツキーの検証 ガーツキーの実証分析は、過去の数多くの戦争についての統計分析です。地域、

    平和はやっぱりカネで買える。ガーツキーの商業的平和論(Capitalist peace) - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/05/06
    その意味で言うと、国防に資するのは「海外からの投資を呼び込む」こと、なのかな。それも、すぐに転売できる株式とかではなく、海外企業を誘致するとか逃げにくいやつを。逆に、海外に投資すれば平和国家になる。
  • 平和はカネで買える。商業的平和論(Capitalist Peace )のはじまり - リアリズムと防衛を学ぶ

    ブログのタイトルに関わらず、リベラリズムの話をします。 これから2回にわたり、商業的平和論について簡単な紹介をします。商業的平和論とは、経済発展が世界を平和にするという理論です。 商業的平和論の思想的起源 貿易や商業の発展が、世界を平和にするという考えは昔からあり、多くの大学者がこれを説いてきました。 モンテスキューやアダム・スミスは、市場は戦争を嫌うと説きました。戦争になれば、交戦国の間では自由な商取引ができなくなるからです。トマス・ペインは「商業は、愛国心と国防の2つの気運を減退させる」としています。 マンチェスター派の台頭 わけても有名なのはコブデンとブライトの「マンチェスター派」。1839年に結成され、自由貿易を強力に推進した集団です。 指導者たるコブデンとブライトは、貿易の経済的メリットだけでなく、思想的な正義を訴えました。貿易こそ平和への道だというのです。 それ以前の英国は、植

    平和はカネで買える。商業的平和論(Capitalist Peace )のはじまり - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/05/05
    後編にも期待。
  • EUの経済と民主主義を救うには安倍総理を見習え?(フォーリンアフェアーズ2015年3月) - リアリズムと防衛を学ぶ

    フォーリン・アフェアーズ・リポート2015年3月号 posted with ヨメレバ オードリー・クルト・クローニン,バッシャール・アサド,ラジャン・メノン,キンバリー・マルテン,ルイス・アレクサンダー,フィリップ・レグレイン,マイケル・A・レビ,アレクサンダー・モティル,マーク・ブリス,ミッチェル・A・オレンシュタイン,R・ダニエル・ケレメン フォーリン・アフェアーズ・ジャパン 2015-03-10 Amazon 図書館 フォーリンアフェアーズはアメリカで発行されている国際情勢の専門誌です。世界的な権威のある雑誌で、特にアメリカの外交政策には少なからぬ影響力をもつと言われています。掲載された論文の中でものすごく有名なものは、冷戦中のアメリカの戦略に影響を与えたケナンの「X論文」、大論争を呼んだハンチントンの「文明の衝突」などがあります。 日語版2015年3月号では、ギリシャおよびEUの

    EUの経済と民主主義を救うには安倍総理を見習え?(フォーリンアフェアーズ2015年3月) - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/03/15
    …そして日本も、消費税再増税(景気条項なし)まであと2年ほどとなりました。「日本のようになる」がまた愚行を指すようになる日はそう遠くないのでは。
  • きっと、その正義は誰にも届かないでしょう - リアリズムと防衛を学ぶ

    どのような方向でも、誰かの死を自分の政治的な主張に利用する人々は、意見が異なる人達から敬意を得ることは難しいでしょう。そのため、彼らが多数派を形成したり、世の中を動かしたりすることはできないでしょう。 なぜといって、凡人が多数の人を継続して動かすために必要なものは、利益誘導と誠実さです。そして人が最も誠実さを示すべき時は、死者とその家族に向き合う時だからです。

    きっと、その正義は誰にも届かないでしょう - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2015/02/04
    例えば、ナチ党の党歌「旗を高く掲げよ」は、暗殺された党員の死を最大限に利用した結果と言える。不誠実なナチス国家は中長期的には滅んだが、短期的には多数派となって世界を動かし、現代まで多くの爪痕を残した。
  • 「解体する世界秩序」リチャード・ハース - リアリズムと防衛を学ぶ

    フォーリン・アフェアーズ・リポート2014年11月号 posted with ヨメレバ リチャード・ハース,マイケル・J・コプロ―,エリザベス・エコノミー,ジョコ・ウィドド,ベニグノ・アキノ,ラミーズ・アッバス フォーリン・アフェアーズ・ジャパン 2014-11-10 Amazon 図書館 フォーリンアフェアーズの巻頭論文で面白いものが載っていたので紹介します。外交問題評議会会長のリチャード・ハースの論文「The Unraveling」です。 ハースはアメリカの覇権の相対的な衰退により、中東をはじめとした世界の秩序が融解していく現状について論じています。興味深いのは、今の、そしてこれからの世界の比喩としてある時代の指し示していることです。 現在の秩序解体の源流は中東にある。第一次世界大戦、あるいは冷戦期と比較されることも多いが、現在の中東の環境とよく似ているのは三十年戦争当時の国際環境だろ

    「解体する世界秩序」リチャード・ハース - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/11/17
    第二次大戦で、人類は国際秩序の尊さを学んだと思ったのだけどな…。残念ながらそうではなかったのかも知れない。学んだのは核兵器の作り方だけだったのか…。
  • 中立国スイスはどうやって第二次世界大戦を回避したか?「将軍アンリ・ギザン」 - リアリズムと防衛を学ぶ

    将軍アンリ・ギザン―意志決定を貫く戦略 posted with ヨメレバ 植村 英一 原書房 1985-07 Amazon 図書館 書はスイスの将軍アンリ・ギザンの人生を描いたです。ギザン将軍は第二次世界大戦ととき、スイス軍の総司令官を務めた人です。そのため書の内容も「スイスから見た第二次世界大戦史」というべき内容になっています。 ドイツがポーランドを攻めた、フランスを下した、連合国がイタリアに上陸した…といったよく知られた大戦中の出来事も、大国ならざるスイスから見ると、また違った印象をもって受け止められます。 あれ、スイスって第二次世界大戦に参戦してないよね? 永世中立国だし…。と思うところです。確かにスイスは参戦こそしていませんが、徹底した戦時体制をとっていました。戦わないために、戦いの準備をしていたのです。 戦争準備 国家緊急権の発動 戦うスイスの民主主義 将軍選出と総動員 な

    中立国スイスはどうやって第二次世界大戦を回避したか?「将軍アンリ・ギザン」 - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/11/01
    相手が得られる利益より大きな代償を支払わせる戦術。ただ、大国だったり交通の要衝だったりするとその「利益」は大きくなるわけで、日本とスイスだと割とかなり差がありそうでもある。
  • 僕らはいつも戦争の間に生きている(戦間期に関する随想) - リアリズムと防衛を学ぶ

    いま私の中で空前の戦間期ブームが到来。関連するをぼつぼつと読んでいます。 これが諸雑誌を猟歩して研究動向を調べているのだったら、あー勉強してんだなというところですが、さに非ずで。新書とか古いとかを趣味的にめくって、連想を働かせているばかりです。 こんな時のためのブログであり、思うところをエッセイ風に書き散らしてみるのが稿。たぶん長くなる上に、厳密でも新奇でもない。書く方もそういうつもりでいるのだから、お読み下さる向きも、何かタメになるとか、ゆめゆめ期待してはいけないのです。 戦間期のどこが面白いのか (パリ講和会議の4巨頭) 戦間期とは、第一次世界大戦の終わりから第二次世界大戦の始まりまでの、おおよ20年間のこと。両大戦間期、Inter-war-Period、というわけです。 「集団的自衛権の起源と戦争の克服」では、19世紀、第一次大戦、第二次大戦、そして冷戦までの流れを駆け足で追い

    僕らはいつも戦争の間に生きている(戦間期に関する随想) - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/10/15
    このところ、「戦間期」の終わりは遠くないのではないか、という不安がひしひしと。少なくとも、遠ざかっているようには全く感じられない。前2回の大戦と違うのは、「第4次大戦は石と棍棒で戦われる」であろうこと。
  • 「ウクライナ危機の原因は、欧米のリベラルな妄想だ」とミアシャイマーは言う - リアリズムと防衛を学ぶ

    フォーリンアフェアーズの14年9月号で、ミアシャイマーがリベラルな国際政治観をぶった切っています。ジョン・ミアシャイマーはリアリリズム学派の国際政治学者。攻撃的リアリズム論の代表的な論者として知られる、当代きっての大学者の一人です。 彼は「欧米世界では、ウクライナ危機はすべてロシアの責任だ」という風潮に対して反駁し、アメリカとヨーロッパ諸国の責任を問うています。たいへん面白い議論ですので、その一部を紹介します。 ウクライナ危機を誘発した大きな責任は、ロシアではなくアメリカとヨーロッパの同盟諸国にある。危機の直接的な原因は、欧米が北大西洋条約機構(NATO)の東方への拡大策をとり、ウクライナロシアの軌道から切り離して欧米世界へ取り込もうとしたことにある。……彼(プーチン)が反転攻勢に出たことには何の不思議もない。「欧米はロシアの裏庭にまで歩を進め、ロシアの中核的戦略利益を脅かしている」と彼

    「ウクライナ危機の原因は、欧米のリベラルな妄想だ」とミアシャイマーは言う - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/09/21
    「バッファー国家」の国民には自国の未来を選ぶ権利もないのだ、という「リアル」をただ是認して良いのか…? 領土を無断でヒトラーに割譲されたチェコスロバキアのような道を、いつか日本も辿るのではないか…?
  • 集団的自衛権の起源と、戦争の克服 - リアリズムと防衛を学ぶ

    しばらく前、「集団的自衛権」という言葉がテレビや新聞でよく見られました。そろそろ静かになってきたので、いつもの通り政治的な主張はさておいて、基と起源を抑えつつ「集団的自衛権と平和の関係」について書いてみます。 集団的自衛権に賛成の人は、日の安全のために必要なんだというし、反対の人は逆だ危険だといいます。両方とも「日は平和で安全な国であってほしい」という目的意識では共通していますね。だけど、どうやって平和と安全を確保するかという手段の点で意見の対立があるようです。 これは現代日に限らない悩みです。昔から世界中の人が平和をつくるより良い方法を考え、やってみて、失敗し、また考え続けてきました。その過程で誕生したアイデアの一つが「集団的自衛権」です。 この記事では集団的自衛権の誕生の経緯を振り返ることで、人類が平和の作り方についてどういう試行錯誤をしてきたかを解説します。これからどうすべき

    集団的自衛権の起源と、戦争の克服 - リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/08/26
    「各国が軍備を放棄し、外交で戦争を回避する」論はWW2以前の欧州に広く存在したが、ならず者国家(ナチス)の前に無力だった。大同盟同士の睨み合いは小紛争を抑止したが相互不信は高まる一方で、世界大戦を招いた…。
  • 「ロシアが軍事介入」のインパクト | リアリズムと防衛を学ぶ

    ロシアウクライナへの派兵を決定しました。対してウクライナ新政権は軍に厳戒態勢をとるよう命じました。国連安保理では米欧・露が互いの主張をぶつけあい、NATOは緊急の大使級会合を開きました。ウクライナ危機は、急激に深刻さを増しています。はたして戦争になるのでしょうか? 直近の動きをレビューしてみます。 ロシア上院は軍事介入を承認。ロシア系住民と、独自の国益を守る プーチン大統領はウクライナ危機での軍事介入を提起し、ロシア上院に承認されました。 ロシア政府によると、プーチン大統領は上院に対し、「ウクライナにおける異常事態でロシア国民の生命が脅かされている」として、軍の派遣を承認するよう求めた。また、クリミアのセバストポリで「国際法に完全に準拠して」駐屯しているロシア黒海艦隊の軍人らを保護しなければならないと述べた。(AFP3/21「ロシア上院、ウクライナへの軍の派遣を承認」) アメリカのオバマ

    「ロシアが軍事介入」のインパクト | リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/03/03
    「独自の軍事力で擁護できる範囲を越えた外交をやろうとすると、帳尻があわなく」…別に他国に介入したわけでなく、自国の進路を決めようとしただけなのに「範囲を越え」るという…。巨大な隣人を抱えた国の悲哀。
  • オリンピックと侵略とーウクライナ危機にみる世界の仕組み | リアリズムと防衛を学ぶ

    ソチ・オリンピックにおいて、バイアスロン女子リレーでワリ・セメレンコ選手らのチームが金メダルに輝きました。それらのに、彼女たちの国のオリンピック委員会の会長のコメントは「今は祝杯を挙げるようなときではない」でした。 彼らの国、ウクライナは動乱の渦中にあり、多くの犠牲者が出たばかりだったからです。さらには今、ウクライナという国家は分裂の危機にあります。ウクライナのアワコフ内相は「これは軍事侵攻であり、占領だ。あらゆる国際条約に違反し、主権国家に対する直接的な挑発だ」とロシアを非難しました。 (引用元:ロイター) そこに見えるのは、21世紀になっても変わることのない、国益と暴力の世界です。 古典的な勢力圏を争い グローバル化が進み、物流やインターネットで世界の市民がつながった今日では、国境や国家の意味が昔にくらべて希薄になっています。国際社会は国家中心から、多国籍企業やNPO、さらには影響力

    オリンピックと侵略とーウクライナ危機にみる世界の仕組み | リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/03/01
    ほんとに、今の日本の平和なんて薄氷の上だと思う。だからこそ、防衛力を維持するとともに、隣国との関係にも注意を払わねばならないのだが…。自称愛国者の人々は平和ボケしてそれを忘れている気がする。
  • 中国軍が行った「尖閣を含む沖縄県南部に侵攻する訓練」の内容 | リアリズムと防衛を学ぶ

    アメリカ海軍の大佐が、「中国軍が尖閣諸島を奪取する訓練をしている」と語ったそうです。 ジェームズ・ファネル大佐は、中国軍は自衛隊との短期集中戦に勝利した上で、尖閣諸島を奪取する作戦能力の獲得が新たな任務に加わったとする分析を述べた。2月13日に米カリフォルニア州で開かれたシンポジウムで述べた。 一方、米太平洋軍は発言について「公開情報を元にした個人的分析だ。過去のシンポジウムで彼が述べてきた主張と変わらない」とし、米軍の公式見解ではないとしている。(琉球新報 2014/2/21)(読売新聞2014/2/20)』 とはいえ、どこの国にも物騒なことを言って巷間を騒がす困った軍人はいるものだし…と思いつつ、英語で検索してみると、色々なことがわかりました。必ずしも誇大な発言ともいえないし、攻撃目標は尖閣諸島だけではありませんでした。 ファネル大佐の発言の中身 今回の発言について、アジア太平洋地域の

    中国軍が行った「尖閣を含む沖縄県南部に侵攻する訓練」の内容 | リアリズムと防衛を学ぶ
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    filinion 2014/02/22
    至言。“あらゆる国家は平和を渇望しています。ただ、望ましい平和の形が国によって異なっているだけなのです”/ともあれ、中国が大規模な着上陸の訓練を行っている、というのは覚えておくべきことだよなあ。
  • 謝罪外交は友好につながらない? 「国際政治の謝罪のリスク」 | リアリズムと防衛を学ぶ

    1月のフォーリンアフェアーズに面白い記事があったのでメモを兼ねて簡単に紹介します。 ダートカレッジのジェニファー・リンド准教授の「国際政治と謝罪のリスク(Sorry, I’m Not Sorry)」です。 この記事では日を念頭におき、アメリカや他国の例をあげて、外交における謝罪について取り上げています。 リンドは、日韓国中国のあいだの過去の歴史をめぐる確執にふれ、中韓は日の謝罪が不十分だとして反発し、外交関係に悪影響を与えている、と紹介します。 また日に限らず、このような謝罪をめぐる国際問題について「かつての敵対勢力と和解するには、過去に相手にダメージを強いたことを、おそらくはタカ派が容認する以上に踏み込んで、認めることが不可欠だ」と論じています。 リンドの主張が面白いのは、この後。「だから謝罪すべきだ」と続けるのではなく、それどころか「だが、必ずしも謝罪する必要はない。

    謝罪外交は友好につながらない? 「国際政治の謝罪のリスク」 | リアリズムと防衛を学ぶ
    filinion
    filinion 2014/01/05
    謝罪する→国内の右派が反発する→その「妄言」に相手国が反発する…のループだと。日米が「和解」したケースは確かに参考にされるべきかも。