達成するのが困難な課題を与え、乗り越えたらさらに高い目標を与える。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正は、その繰り返しこそが、人や企業を成長させると信じている。昭和47年に父が経営していた地方の衣料品店に入社し、手探りで1兆3000億円の世界企業に育てた柳井自身が実践してきた哲学だ。 ただ、その哲学に誰もがついていけるわけではない。柳井が家業に就いて2年目には、7人いた従業員がわずか1人になった。また、草創期のファストリで経理や財務など管理畑を担当し、柳井自身が「右腕」と呼んだ専務の菅剛久も、入社から10年あまりで退任した。 柳井は著書で「どんどんハードルを高く設定していくぼくの姿勢と部下たちの間にはさまれて」いたことを、菅の退任の理由のひとつに挙げている。 ◇ ◇ ◇ 10月7日、東京都港区の東京ミッドタウンのファストリ本社。柳井が発表した電撃人事は、国内よりも海外で驚きとともに