(英エコノミスト誌 2010年3月13日号) インフレのメリットは、先進国の問題に対する解決策として誇張されがちだ。 それは長い間、社会悪であり、投資の障害であり、倹約に対する税金だと考えられてきた。そう思うと、インフレが今、先進国の経済問題に対する解決策としてもてはやされるのは奇妙に思える。 一見したところ、インフレの議論には説得力があるように見える。 中央銀行がより高いインフレターゲットを設定していれば、景気後退期により大幅な実質金利の引き下げが可能になる。インフレ率が高いと、景気の落ち込んだ産業や地域がコスト競争力を取り戻すのが容易になる。またインフレは、先進国経済に重くのしかかる民間部門と公的部門の債務負担を軽減する助けになる。 だが実際には、価格がより急速に上昇するのを認めることには、恩恵だけでなくコストも伴う。 インフレに関する正統派の理論は確かに変化している。国際通貨基金(I