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フィリップ・コトラーによる最新作のテーマは「資本主義」だった。“近代マーケティングの父”と称されるマーケティング学者が、なぜ資本主義を論じるのか。そして、コトラーはこれからの企業に何を求めているのか。『資本主義に希望はある』(ダイヤモンド社)の日本版出版を記念して、編集部が単独インタビューを実施した。後編。(写真/引地信彦) 5年後にどうなりたいのか、 自社の戦略を見直すべきとき ――現在、日本企業が特にマーケティング面で抱えている課題は何だと思われますか? フィリップ・コトラー(以下略) 日本のこれまでの成功とは、たとえばトヨタ自動車の「カイゼン」や「ジャスト・イン・タイム」などのように、製造の強みによってもたらされてきました。ところが、世界は変わりました。よい製品が少ないのではなく、資本主義が傷ついたことでよい消費者が減っているのです。その結果、限られた消費者をすべての企業が奪い合う状
昨今、人工知能という言葉をよく耳にするようになったが、最新のテクノロジーをビジネスにつなげるためには越えなければならないハードルがある。科学界と経済界双方のニーズを満たし、新たなビジネスを生み出すためにはどうすればよいのか。Recruit Institute of Technology 推進室の室長を務める石山洸氏が語る。連載は全4回を予定。 人工知能ビジネスは 経済界と科学界の中間にある いま、人工知能ほど世の中のお騒がせしているものはない。人類の夢が託されていると言う人もいれば、ブームやバブル、悪魔という悲観的な見方さえもある。人工知能を研究している研究者に聞けば、きっと答えを教えてくれるはずと思うかもしれない。しかし、それぞれの意見が異なり、余計にわからなくなってしまうだろう。 シンギュラリティもわかったようでわからない。「2045年に人工知能が人類の知能を超えるって、あぁ、2000
モバイル機器による「常時オンライン」の状態は、生産性を高める一方で阻害することにもなるという。「ぼうっとする時間」が失われ、脳の有益な働きが抑制されるためだ。そのメカニズムと対策を示す。 スマートフォン、タブレット、ラップトップ、その他のデバイスのおかげで、技術上の理由で仕事に取りかかれない時間帯は存在しなくなった。したがって理論上は、以前よりも仕事がはかどるはずだ。すべての時間を仕事に使えて、効率を最大化できるから、である。 デバイスの存在が、ある部分では生産性を高めてくれるのは明らかである。その一方で、生産性を阻害する由々しき側面についてはあまり知られていない。それは、ぼんやりと思考をさまよわせている状態(mind-wondering)、いわゆる白昼夢を妨げてしまうことだ。退屈な時や仕事の途中で休憩を取る時に、常にデバイスに向かっていると、新しい情報を処理し続けている状態になる。この「
写真を拡大 尾原 和啓(おばら・かずひろ) Fringe81執行役員。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。阪神・淡路大震災時の避難所ボランティアの経験から、仕組みやプラットフォームに強い興味を抱く。マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、Google、楽天などを経て現職。インドネシア・バリ島在住。著書に『ITビジネスの原理』があり、新著『ザ・プラットフォーム』はKindle版ビジネス書部門で1位を獲得。 尾原:簡単にお話ししますね。大学院で人工知能の研究をして、修了と同時にマッキンゼーに入りました。ここでiモードのプロジェクトに出会い、独立してNTTドコモと契約し、iモードの立ち上げに携わります。そこで、当時NTTドコモの部長だった松永真理さんという「不思議な生き物」に出会い、この人を生んだリクルートに興味が湧いてリクルートに転職します。 しばらくすると
これまで多くの論考では、「人間は未来をうまく予測できない」とされてきた。しかし新たな研究によれば、人知による予測は無駄な行為ではなく、1つのスキルとして訓練・向上が見込めるという。それを可能にする方法とは? 「予測は難しい。特に未来については」と昔からよく言われる。長年にわたり、社会科学の分野でもそのことが認められてきた。専門家と言われる人々でさえ予測に失敗することが、多くの研究で示されている。2007年のHBR論文「予測の技術」は、予言・予想(未来の確実性を論じること)と、予測(可能性の正体をつかむこと)はまったく別のものであるとしている。つまり、未来を見通すことはかように難しいと考えられてきた。 ところが新たな研究によって、この状況が変わりつつある。 予測について以前よりもはるかに多くのことが明らかになってきたのだ。たとえば、予測に長けた人とそうでない人がいる。そして予測能力はある程度
早稲田大学ビジネススクール教授。東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務を経て1998年より現職。主としてファイナンス関連の講義および演習を担当しているが、物価理論などマクロ金融関連の論文著作も多い。主な著書に『貨幣進化論』(新潮選書・2010年)、『コーポレート・ファイナンス』(中央経済社・2013年)など。早稲田大学博士。 前回は、ROEの分子対策の効果、具体的には高収益事業に経営資源を集中することの効果を考えた。結論は、高収益事業への集中は、それがROEの数値そのものを向上させるものであったとしても、事業機会の間での「裁定」が十分に働いている世界では、それが企業価値を高めるものになるとは限らないというものであった。 そうすると、次に注意が向くのは、ROEの分母対策、具体的には自己株式の買い入れなどによって株主資本を減らし資本効率を高めれば、それは企業価値を高めることになるのではないかという
一流の経営者やコンサルタントなど、彼らに共通しているのは、一緒に仕事する気持ちよさである。仕事の出来る人と一緒に仕事をすると、なぜ楽しいのか。それは彼らのリーダーシップにある。 一流の人は相手のことを考える余裕がある ハーバード・ビジネス・レビューの編集の仕事をしていると、各界で活躍する第一人者の方々と仕事をする機会に恵まれます。経営者や起業家、コンサルタントや学者の方々など、どの人もその世界で相当の実績を積まれてきた方々です。そのような方々と一緒に仕事をするのは「大変なのではないですか」と聞かれることがありますが、強がっているのではなく、大変というより「楽しい」というのが正直な感想です。 まず一流の実績を上げてきた方は、こちらの仕事のやりやすさを考えてくれます。「どうすれば相手の仕事がやりやすくなるか」を無意識のうちに考えておられます。なぜ周囲や相手のことまで考えられるのか。これは人とし
日本の労働市場に流動性が欠けているのは、各社が自社で求めるスキルを多く要求するからではないか。企業独自のスキル開発は競争優位を築く差別化ともなりうるが、それに従事する従業員の市場価値が高まらないリスクもある。 高度な専門スキルが価値を生まなくなることがある いまから25年以上前、北海道の鉱山の採掘現場を取材したことがあります。現場には岩を削るためのドイツ製の巨大な重機が使われていました。この重機は日本には一台しかないそうで、どんな固い岩盤をも崩す力があるそうで、この重機の活用こそ他社に勝る競争優位だそうです。 そしてこの重機を操作する技術も相当なものです。まさに熟練された技術は希少でもありこの採掘現場を支えています。巨大な重機を淡々と操る作業員の方は、まさに現場のヒーロー。「プロフェッショナル」として眩しく目に焼き付きました。 あれから時代が変わりこの鉱山も閉山されました。あの特殊な重機を
リーダーといえば、ビジョンを掲げメンバーを引っ張るのが理想とされる。しかしイノベーションを起こす組織のリーダーはそのようなスタイルをとらないという。従来のリーダーシップの原則を覆す本が登場した。『ハーバード流逆転のリーダーシップ』という本である。 イノベーション・リーダーは自らビジョンを掲げない イノベーションとリーダーシップは、ともにいまの時代のマネジメントで重要課題であり、さまざまな考え方や実践方法が書籍などで紹介されている。またイノベーターやリーダーの条件などについても多くの書籍が出ているが、イノベーションを起こすために必要なリーダーシップについては、これまであまり語られなかった。イノベーターがリーダーになれば、その組織がイノベーションを起こせるのか。そう単純ではなさそうだ。ではどういうリーダーが必要か。これを論じたのが『ハーバード流逆転のリーダーシップ』)である。 本書の結論は目か
これまで競争戦略論では、同業他社は競合ととらえられていた。しかし競合と協調することで、利益を上げている企業も多くある。今回は競合企業と共存を図る「協調戦略」について、GE、セブン銀行、コスモス・ベリーズ、グリコの事例をもとに論じていく。 協調戦略とバリューチェーン 早稲田大学ビジネススクール(大学院商学研究科)教授。 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)後、三菱総合研究所入社。主に大企業の新事業開発のコンサルティングに従事。1989年早稲田大学に移籍。現在に至る。2003年学術博士(早大)。専門は競争戦略、ビジネスモデル。アステラス製薬(株)(2001年~2012年)、NEC(2011年~)社外監査役を兼務。 かつての競争戦略論では、同業他社は競合ととらえられていた。しかし近年、他社とは競争するだけではなく、協調の面もあることが認識されるようになってきた。協調戦略とは、競合企業と
やらなければいけないのに、どうしてもやる気が出ない。手をつけられないまま、棚上げしている作業はないだろうか。そんな時にあなたを確実に動かす、3つの方法がある。予防焦点、感情の無視、条件付けによる計画だ。 ずっと後回しにしてきたプロジェクトの、期限がいよいよ迫っていて気が気ではない。それから、絶対に返事の電話をしなくてはならないクライアントがいる――どうせ苦情を聞かされるばかりで、貴重な時間が潰れるだけなのに。待てよ、そういえば今年は、ジムに行く回数を増やそうと決めたはずではなかったか――。 やらなければいけないのに、どうしてもやる気が出ない。そんな時、何らかの方法で自分を動かせたら、罪の意識やストレス、失望感をどれほど減らせることだろう。もちろん満足感も高まり、もっと有能にもなれるはずだ。 正しい作戦を取れば、物事を先延ばしにする癖を改善できる。どの作戦を選ぶかは、そもそもの理由によって異
入山 章栄(いりやま・あきえ) 早稲田大学ビジネススクール 准教授 1996年慶應義塾大学経済学部卒業、98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2003年に同社を退社し、米ピッツバーグ大学経営大学院博士課程に進学。2008年に同大学院より博士号(Ph.D.)を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネス・スクールのアシスタント・プロフェッサー(助教授)に就任。2013年から現職。専門は経営戦略論および国際経営論。主な著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)がある。 入山 視野は広がったと思います。経済学サイドの人の全員ではないけど、その一部は、ぶっちゃけ経営学を下に見ているところがあると思うんですよ。でも、それだけのものが経済学にはある。非常に体系化された、よ
与えられた任務に全力を尽くしていない同僚がいたら、どう接するべきだろうか。見て見ぬふりは簡単だが、相手の怠慢が自分の仕事に差し障るとなれば話は別だ。賢明な対処法を、2人の専門家が伝授する。 他人の怠慢を取り締まることなど、誰もしたくないものだ。同僚が定時前に帰ったり、締め切りを守らなかったり、与えられた仕事に全力投球していない場合、どう対処すればよいか判断に苦しむ時がある。本人に直接注意をすべきなのか、上司に話すべきなのか、それとも余計な口を出さないほうがよいのか――。 専門家の意見 仕事に全力を尽くさない人と一緒に働いた経験は、誰にでもあるだろう。1日中フェイスブックをチェックしている、昼休みを2時間とる、まったく締め切りを守らない、といった同僚だ。 しかしどれほど腹立たしいと思っても、その人の振る舞いがあなたの仕事に実質的な影響を与えていなければ、サボりを取り締まる警察の役を負うべきで
早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる人気連載「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。4人目にご登場頂くのは、組織行動学、人材マネジメント論がご専門の竹内規彦准教授だ。組織の中の人の問題を考える際にカギとなる「モチベーション」「目標設定」「理念浸透」の3つのキーワードを軸に、リーダーに求められる「見極める力」を計3回に渡って考える。 「モチベーション」は「やる気」と同義か 竹内規彦(たけうち・のりひこ) 早稲田大学ビジネススクール准教授 愛知県名古屋市生まれ。2003年名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。東京理科大学経営学部准教授、青山学院大学大学院経営学研究科(戦略経営・知的財産権プログラム)准教授等を経て、2012年より現職。 組織行動学・人材マネジメント論を専門とし、国内外の主要学会にてベストペーパーアワード等を多数受賞。米国Association
手の内が見えにくく、変化への対応も俊敏であったが故に、コンサルティング業界は長らくの間、製造業その他に起きたような破壊的変化の脅威を免れてきた。しかし、クリステンセン氏が2013年10月にHBRに寄稿した“Consulting on the Cusp of Disruption”(邦訳DHBR2014年4月号「コンサルティング業界は変われるか」)によると、知識の普及とオープン化が進むにつれて、その優位性は脅かされつつあり、コンサルティング業界も破壊的変化に見舞われるという。ボストン コンサルティング グループ会長のハンスポール・バークナー氏に、クリステンセン氏の論考に対する見解を聞いた。 いま起きている変化は、コンサルティング業界を豊かにする 写真を拡大 ハンスポール・バークナー (Dr. Hans-Paul Bürkner) ボストン コンサルティング グループ会長。2003年に、欧州出
人間の仕事は、今後ますますロボットに奪われていく――その懸念は高まるばかりだ。しかしロボットと人間の共生も模索されている。たとえばロボットの活用によって、海外から自国に労働力を取り戻す潮流が見られるという。 「ロボットが人の仕事を奪う」という懸念がかつてなく高まっている。これは、エリク・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーの示唆に富む共著The Second Machine Age (第二のマシン時代)、そしてオックスフォード大学マーティン・スクールの研究"The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerization?"(雇用の未来:コンピューター化が職に与える影響)の発表に対する反応だ。前者は、デジタル技術やロボット工学の急激な進歩によって、「トラックの運転手から弁護士まで、あらゆる専門職は永遠にロボット
早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。2人目は会計・ファイナンスがご専門の西山茂先生だ。ソフトバンクとドコモは誰もが知っている企業だが、会計・ファイナンスの観点から見れば、様々な相違点が浮かび上がる。ビジネスパーソンにこそ押さえておいて欲しい知識が、全6回で学べる。 なぜ会計とファイナンスを学ぶべきか 写真を拡大 西山茂(にしやま・しげる) 早稲田大学ビジネススクール教授。早稲田大学政治経済学部卒。米ペンシルバニア大学MBA修了。監査法人ト-マツ、㈱西山アソシエイツにて会計監査・企業買収支援・株式公開支援・企業研修などの業務を担当したのち、2002年より早稲田大学。2006年より現職。学術博士(早稲田大学)。公認会計士。 主な著書に、企業分析シナリオ第2版(東洋経済新報社)、戦略管理会計改訂2版(ダイヤモンド社)、入門ビジネス・ファイナンス(東洋
企業のトレードオフ・マネジメントに変化をもたらすものは技術や企業のケイパビリティだけではない。企業の競争によってもたらされる需要の側の変化も、トレードオフのマネジメントの方法が変わる契機となりうる。ホテル業界や飲食業界の事例をもとに、成功する二兎戦略について考える。 中間地帯を二兎戦略で攻略する 写真を拡大 淺羽・茂(あさば・しげる) 早稲田大学ビジネススクール教授。 1985年東京大学経済学部卒業。94年東京大学より、博士(経済学)取得。 99年UCLAより、Ph. D(マネジメント)取得。学習院大学経済学部教授を経て、2013年より現職。 主な著書に、『競争と協力の戦略』(有斐閣)、『日本企業の競争原理』(東洋経済新報社)『経営戦略の経済学』(日本評論社)、『ビジネスシステムレボリューション』(NTT出版)、『企業戦略を考える』(日本経済新聞出版社)『企業の経済学』、(日本経済新聞出版
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長を務めていた松本晃氏が、カルビーの会長兼CEOに就任したのは、2009年のこと。当時、カルビーは国内需要の頭打ちとも重なり、成長の踊り場ともいえる状況にあった。ところが以後、カルビーは大きく業績を伸ばす。とりわけ注目すべきは、1%台だった営業利益率が今や10%に迫っていることだ。カルビーに何が起きたのか。「儲かる会社」へと変貌を遂げた、松本氏の改革に迫る(全2回)。 難しいことはやっていない。儲けるための仕組みをつくっただけ ――カルビーの営業利益率はかつて1%台でした。今や10%に迫る勢いですが、なぜカルビーは儲かっていなかったのでしょうか。また、どう変えていかれたのでしょうか。 単に儲け方が下手だっただけです。会社が儲かるには、基本的には3つの要素があります。「商品の品質」「コストの安さ」「供給体制」です。カルビーは1番目と3番目はよくできて
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