走る補助金 膨大な政府補助金をつぎ込んだアムトラックの利便性は、一向に向上しなかった Joshua Lott-Reuters バラク・オバマ大統領が意気込む高速鉄道整備計画は、過去の失敗から学べない政府の無能さを示す典型的な例だ。1971年以来、アメリカ政府は約350億ドルの補助金をアムトラック(鉄道旅客輸送公社)につぎ込んできたが、ほとんど公共の利益になっていない。 交通渋滞の緩和や石油消費量、温室効果ガスの排出量の面で、注目に値しない微々たるレベルの環境効果があった程度だ。恩恵を受けているのは、ごく僅かな利用者だけ。1日あたり1億4000万人が通勤するアメリカで、アムトラックを利用するのは7万8000人しかいない。1回の移動で約50ドルの補助を受けていることになる。 そう考えれば、どんな間抜けな政治家でも鉄道事業への補助金など増やさないだろうと思うのが普通だ。しかも、今年から2019年