20万人にも上る死者を出した1990年代前半のボスニア・ヘルツェゴビナ内戦。いまなお残る民族間対立をサッカーで乗り越えようと、元日本代表監督、イビチャ・オシム氏(70)が故郷サラエボで奮闘している。3民族に分裂していたボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー連盟で昨春、正常化委員長に就任、「みんなで力を合わせてサッカーで勝てるようになれば、人々の気持ちも祖国も変わる」と改革を進めている。(サラエボ 木村正人) ◇ 旧ユーゴスラビアが崩壊する過程で、ボスニア・ヘルツェゴビナでは1992~95年、ボスニア人(主にイスラム教徒)、セルビア人(同セルビア正教徒)、クロアチア人(同カトリック教徒)の3民族が戦い、死者20万人、難民・避難民250万人以上を出した。 同国は現在、セルビア人共和国とボスニア連邦に分かれ、3民族の代表が輪番で幹部会議長(元首)に就任している。