札幌医科大は10日、脊髄(せきずい)を損傷した患者自身の骨髄幹細胞を使って神経を再生させる臨床試験(治験)を始めると発表した。幹細胞を使う治療はさまざまな病気での研究が進行中で、脊髄損傷での治験は国内初。脊髄損傷はリハビリ以外に有効な治療法がなく、新たな可能性として期待されるが、効果やリスクなどの課題を指摘する声もある。 治験を実施するのは、山下敏彦教授(整形外科)らのグループ。患者から数十ミリリットルの骨髄液を採取して、主に骨や脂肪などの細胞になる「間葉系幹細胞」を分離する。2週間かけて1万倍に増やし静脈に点滴する。 グループは、間葉系幹細胞が脊髄の傷ついた部分に自動的に集まり、損傷した組織内で神経系細胞に分化して組織を修復する作用があると説明している。発表によると、ラットの実験では、運動機能の回復が確認されたという。