九州国立博物館(福岡県太宰府市)は8日、玄界灘に浮かぶ相島(同県新宮町)沖合の海底で、古代の瓦らしき遺物を確認したことを明らかにした。9世紀に九州から京都の平安京に向かう途中で沈んだ船の積み荷ではないかという。 九博は文化庁の委託を受け、水中遺跡の探査や保存活用手法の確立をめざしている。今月から相島沖で音波探査装置や水中ロボットカメラなどを使って調査を実施中。水深18メートルの砂地に、ほぼ完全な四角い人工物3点や多くの破片が点在しているのを発見した。 この海域でかつて漁師が引き揚げた瓦は、平安京と斜ケ浦瓦窯跡(福岡市西区)で出土するものと同じと判明。876年に平安京であった火災後の再建に用立てられた可能性が指摘されている。今津節生・九博博物館科学課長は「証言の引き揚げ場所にきわめて近く、今回も同じ瓦の可能性が高い。探査のモデルケースになる」と話す。(編集委員・中村俊介)