不寛容が形になった幟旗 「地域住民の安全を守れ」 「子どもたちの安全を守れ」 庭付き一戸建ての家々が建ち並ぶ横浜市都筑区の住宅街。その一角に、こう書かれた黄色い幟旗が立ち並ぶようになって、もう1年以上になる。 この幟旗は、同地に建設された精神障害者向けグループホームに反対する住民が立てたものだ。障害者をまるで犯罪者か凶暴な獣でもあるかのように危険視する、「ヘイト幟旗」と言う他ない。 住民たちは、旗の撤去を求める横浜市の説得に応じない。精神障害者への理解を得ようと、今年設立された神奈川精神医療人権センター(通称KP)が始めた各戸訪問も、「こんなことをしても何も変わらないよ」と、どこふく風で受け流す。 住民の話を聞いたKPのピアスタッフは言う。 「話がまるで噛み合わない。あの人たちの世界には、精神障害者はいてはいけないようなのです」 コロナ騒動をきっかけに、これまで明るみに出なかった差別意識や
国のホームレスらの就労支援事業を巡り、合同会社「東京しごと応援団」(東京都新宿区)が二億二千万円を不正に受給していた問題で、このうち六千七百万円が関連のNPO法人「新宿ホームレス支援機構」(NPO新宿、新宿区)に流れていたことが分かった。しごと応援団は「NPO新宿から水増し請求の助言を受けた」と証言。NPO新宿は口座も管理しており、不正を主導していたとみられる。 しごと応援団は二〇〇八~一八年度、厚生労働省の日雇(ひやとい)労働者等技能講習事業を計十四億四千万円で受託。ホームレスらを対象にした一部の講習をNPO新宿に再委託していた。 この技能講習事業は、もともとNPO新宿が受託していた。トラブルで入札参加停止となったため、〇八年に新たな受け皿としてつくったのが、しごと応援団だった。応援団の池田昌光代表は、かつてNPO新宿で講習事業に携わっていた。
散歩中の保育園児ら16人が死傷した事故の現場。園児らが信号待ちをしていた歩道(右)に防護柵が設置され、右折レーンの先端(中央)には破線が引かれた=大津市大萱6で2020年1月29日、諸隈美紗稀撮影 大津市で散歩中の保育園児ら16人が車同士の衝突に巻き込まれた事故から9カ月。裁判の判決を前に毎日新聞が実施した園児らの散歩コースに関するアンケートでは、子どもの命を守るため、国に補助制度の充実や明確な指針作りを求める声が自治体から相次いだ。一方で、運転マナーの向上が依然として大きな課題であることも浮き彫りになった。 2019年5月に16人死傷事故が起きた大津市大萱(おおがや)6の滋賀県道交差点。園児らが信号待ちをしていた歩道には防護柵が設置された。事故の原因となった乗用車が対向車と衝突する直前に通った右折レーンの先端には、新たに停止位置の目安となる破線が引かれた。 それでも、強引に右折する車は後
日暮里駅の視察に向かう視覚障害者団体のメンバーら=東京都荒川区で2020年1月16日午前9時59分、南茂芽育撮影 東京都荒川区のJR日暮里駅で11日、視覚障害がある会社員、森政和さん(53)=足立区=がホームから転落し、京浜東北線の電車にはねられ死亡した事故を受け、都内の二つの視覚障害者団体が13、16の両日、原因を探るため現場を訪れた。視覚障害者たちは「点字ブロックを認識できない時もある。ホームドアを早くつけてほしい」と訴えた。 同駅はホームの両側に山手線と京浜東北線が通る。山手線側にはホームドアがあり、京浜東北線側にはない。警視庁荒川署とJR東日本東京支社によると、白杖(はくじょう)を持って歩いていた森さんは、京浜東北線側のホームから落ちた。落ちたとみられるのは階段の脇。階段と点字ブロックの間は人が1人通れるほどの狭い所だった。東京視覚障害者協会の山城完治さんは「狭く、利用客も多くて怖
台風19号で流された路上生活者とみられる男性の遺体が見つかった多摩川左岸の河川敷周辺=東京都国立市で2019年10月17日、安達恒太郎撮影 昨年10月12日の台風19号から間もなく3カ月。その際に東京都台東区が路上生活者の避難所受け入れを拒否した問題で、支援団体が路上生活者たちに、当時の行動や避難所開設を知っていたかなどの聞き取り調査を実施した。調査の中で浮かび上がってきたのは、「避難所があったとしても行かない」という声だ。なぜ避難所に入ろうとしないのか。避難所を万人に開くだけで対応は十分と言えるのか。受け入れ拒否が浮き彫りにした課題を追った。【塩田彩】 支援団体調査で多数 昨年11月の晴れた日曜日、東京スカイツリーが頭上にそびえる台東区の隅田川河川敷で、路上生活者向けの医療相談会が開かれた。生活困窮者支援に携わる一般社団法人「あじいる」など複数の団体が月1回開催し、ボランティアの医師らに
糸魚川大火から22日で3年を迎える。市は21日、被災地を歩き、イベントに参加しながら、復興の様子を見てもらい、まちの魅力を発見してもらう「復興まち歩きの日」を開いた。子どもから大人まで、大火の教訓を胸に刻み、改めて防火を誓った。【浅見茂晴】 市主催の式典は、駅北広場前で開かれ、市民や関係者ら約200人が出席。退任し、国土交通省に戻った木村英雄前副市長も駆け付けた。米田徹市長は、3年を振り返り、「スピード感を持って取り組み、一定の成果があった」と、復旧が進んだことを評価。その上で「にぎわいを、もう少し頑張っていかなければならない」と、復興を進める決意を披露し、人が集うまちづくりをしていく考えを示した。また、建設が進む駅北広場の愛称が公募により「キターレ」に決まり、発表した。 式典会場周辺では、消防車両の展示やベンチづくり、子どもたちのダンスステージや音楽ライブなどがあった。被災地近くの県史跡
障害者施設を巡り、過去5年間に少なくとも全国で68件の建設反対運動が起きていた。障害者差別解消法の施行から3年がたったが、依然としていわれのない差別に苦しむ障害者の実態が見えてきた。障害のあるなしに関係なく、市民がともに暮らす社会の実現への課題を探るため、現場を歩いた。【上東麻子、千葉紀和】 「どこに住めばいい」施設反対に戸惑う障害者ら 「運営反対」「地域住民の安全を守れ」――。今年11月、横浜市都筑区の住宅街に建てられた障害者グループホーム(GH)周辺の民家十数軒には、こう書かれた30本以上の大きな黄色いのぼり旗が並んでいた。 このGHは、同市が2018年3月に設置を認めた。運営事業所で訪問看護サービスを展開する「モアナケア」(同区)は地元住民の求めに応じ、同年12月と今年1月に説明会を開いた。だが、住民は「地価が下がる」「子どもたちの安全が脅かされる」などと主張し、開設に反対。3月にな
「夫の死はむだにはならなかった」。用水路の事故で家族3人を亡くした遺族は私たちの取材に涙ながらにこう語りました。全国の住宅地などにある用水路や側溝で去年1年間に少なくとも2000人以上が死傷しています。こうした実態を受け、国は都道府県が行う用水路事故の対策費用を全額補助する事業を来年度から始めることになりました。「落ちたほうが悪い」と言われることさえもあった用水路事故。対策に向けた大きな一歩となりました。(用水路事故取材班/富山局記者 佐伯麻里・中谷圭佑) 私たちが用水路事故の取材を始めたのは3年前。当時は、“用水路事故”ということばもあまり知られていないと感じました。1か月に何人もの方が用水路で亡くなっていましたが、警察や行政の関係者からは「用水路で人が亡くなるのなんて日常茶飯事だろう。なぜ取材しているのか」と言われることも多くありました。 しかし、これだけ多くの人が亡くなっている事故の
幼稚園や保育園などの子どもたちが集団で移動する各地の経路を点検したところ、7割近い、およそ3万6000か所で安全対策が必要なことがわかりました。 10月末までに点検した場所の7割近い、およそ3万6000か所で、歩道が狭かったり、道路標識が見えづらかったりするなど、安全対策が必要なことがわかりました。 このため安倍総理大臣は19日開かれる関係閣僚会議で、必要な対策を急ぐよう指示することにしています。 子どもの安全対策をめぐって、政府は歩道の拡充・整備や防護柵の設置、道路標識の塗り直しなどを行うほか、小学校の通学路の「スクールゾーン」と同様に、保育園などの周辺に「キッズゾーン」を設けるとしています。
千葉県南房総市内の民家2階で、住人の男性(左)とともに損壊の程度を確認する市職員の小沢一宏さん=山口登史撮影 台風15号による千葉県内の建物被害を巡り、被災者が公的支援を受けるために必要な「罹災(りさい)証明書」の発行が進んでいない。自治体の人員不足で、損壊の程度を確認する家屋調査にまで手が回らないためだ。調査結果によって支援金額も変わり、被災者から「生活再建の見通しが立たない」と困惑する声が上がっている。 (小倉貞俊、山口登史、丸山将吾) 「隣家の屋根がずれてきて、窓を突き破ったんですね」。二十日、深刻な台風被害を受けた南房総市の富山地区。罹災証明書の発行を担当する市職員の小沢一宏さん(51)ら二人が、屋根をブルーシートで覆った木造住宅で、住人の男性(53)から聞き取りをしていた。割れた窓ガラスが散らばり、天井はかびだらけ。湿った畳はぶかぶかの状態。小沢さんたちは損壊具合を撮影して評価シ
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