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ブックマーク / univ-journal.jp (37)

  • 魚身を劣化させず瞬間大電流でアニサキスを殺虫、熊本大学などが開発

    大学産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授らと株式会社ジャパン・シーフーズらの共同研究グループは、パルスパワー技術によって瞬間的に大電流を流すことにより魚身の内部にいるアニサキスを殺虫することに成功した。冷凍・加熱以外でアニサキス殺虫を可能とする世界初の新技術で、すでに特許出願済みだ。 パルスパワーとは、200V(または100V)の電源から電気エネルギーを一旦コンデンサへ蓄積し、これらをマイクロ~ナノ秒レベルで取り出すことで得られる瞬間的超巨大電力のこと。研究グループは、魚身に瞬間的にこの大電流を流すことにより、魚身の温度上昇を抑え魚身中のアニサキスの殺虫に成功した。プロトタイプ機では、一度に3kgのアジフィーレ(3枚おろしにした片身)を約6分で処理できたという。解凍品に比べて品質の劣化が少なく、通常チルド品に近い品質が保たれる。 すでにジャパン・シーフーズ工場にてアニサキス殺虫装置

    魚身を劣化させず瞬間大電流でアニサキスを殺虫、熊本大学などが開発
  • 無秩序から秩序が発現していく結晶の形成過程を、原子レベルで観察することに成功

    無秩序から秩序が発現していく結晶の形成過程を、原子レベルで観察することに成功 大学ジャーナルオンライン編集部 東京大学と産業技術総合研究所のグループは、無秩序な分子集合体から結晶核が形成される過程を連続的に撮影して解析することに初めて成功した。 グループでは、「原子分解能単分子実時間電子顕微鏡(SMART-EM)イメージング法」とよばれる技術開発により、小さな分子1つ1つや分子集合体の動きを動画撮影して記録する研究に取り組んできた。今回、この技術にあわせて、カーボンナノチューブ(CNT)をナノフラスコとして利用し結晶化を空間的に制御することで、結晶化現象の原子レベルでの直接観察が達成されたという。 実験では、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を円錐状CNTに内包させ、その後乾燥により水を除去したところ、円錐形状によりCNT先端においてNaCl分子の自己集合・核形成が誘起され、さらにCNT内

    無秩序から秩序が発現していく結晶の形成過程を、原子レベルで観察することに成功
  • 一瞬で自己修復する強靱な超分子材料、大阪大学が開発に成功

    大阪大学大学院の朴峻秀大学院生(博士後期課程3年)らと山形大学のグループは、二種類の高分子を混合することで、傷を自然に修復できる非常に強靭な材料の作製に成功した。 研究グループは、ホストポリマーとゲストポリマーという二種類の高分子化合物を合成し、これを一般的な混合装置(遊星型ボールミル)で混ぜ合わせることで、二種類のポリマーが弱い分子間力(ホスト-ゲスト相互作用)で組み合わさった超分子材料を得た。このとき、より強い混合力を与えることで、得られる超分子材料がより強靭になることを発見した。 この材料でコーティング膜を作り、その表面に傷を入れると数秒で傷が消失。ホスト-ゲスト相互作用はポリマー中の分子間で何度も接着・分離が可能なため、超分子材料は傷を修復して生命のように自己修復できる。また、完全にバラバラに破壊しても、再度混合処理を行うことで、材料を元の形に再生使用することができ、強度も回復した

    一瞬で自己修復する強靱な超分子材料、大阪大学が開発に成功
  • 植物の接木が成立するメカニズムを解明 タバコ植物は異なる種にも接木できる

    名古屋大学生物機能開発利用研究センターの野田口 理孝准教授をはじめ、帝京大学、理化学研究所、中部大学、名古屋大学発ベンチャーグランドグリーン株式会社の研究グループは、タバコ属植物は異なる科の植物に対して接木を成立させられることを発見した。 そこで今回、研究グループはナス科タバコ属のベンサミアナタバコをはじめとする7種のタバコ属植物を穂木として、タバコ属と同じ双子葉草植物だけではなく、単子葉植物や木植物の接木(異科接木)を試験した。その結果、実に38種類の科の73種類の種と接木が成功した。 次にベンサミアナタバコで異科接木が成立する分子メカニズムを調べた結果、細胞の外に分泌されるβ-1,4-グルカナーゼが接木の接合面で細胞壁の再構築に関わっていることを見出した。またβ-1,4-グルカナーゼを過剰に発現させると、接木の接着性が促進されることを示した。さらにタバコ属植物を中間台木に用いること

    植物の接木が成立するメカニズムを解明 タバコ植物は異なる種にも接木できる
  • 東京大学などが試験管内で物質の自発進化に成功、寄生体との共進化が生命誕生のカギか

    東京大学などが試験管内で物質の自発進化に成功、寄生体との共進化が生命誕生のカギか 大学ジャーナルオンライン編集部 フランス国立科学研究センターの古林太郎博士研究員、東京大学の市橋伯一教授らは、ただの物質の集まりである RNA の自己複製システムを試験管内で多様な系統へと自発進化させることに成功した。 今回の研究では、従来の分子システムを基に、RNA にコードされた遺伝子の酵素などタンパク質への翻訳を可能にする反応液(無細胞翻訳反応液)を用いたRNAの自己複製システムを独自開発。このシステムを原始生命体のモデルに使用し、実験室で約300世代に及ぶ長期の進化実験を実施した結果、物質であるRNAの進化現象の観察に初めて成功した。 実験ではまず、元のRNA(宿主RNA)に依存して増える寄生型のRNA(寄生体RNA)がRNAの組み換えにより自然発生した。そして両者は、互いに対する耐性を次々に獲得した

    東京大学などが試験管内で物質の自発進化に成功、寄生体との共進化が生命誕生のカギか
  • 「クモの糸」の強さの秘密、慶應義塾大学などが解明

    慶應義塾大学の河野暢明特任講師らの研究グループは、Spiber株式会社のチームと共同で、オニグモのゲノムを決定し、世界で初めて多様なクモ糸タンパクとそれに関連する遺伝子の全貌を明らかにし、糸遺伝子の系統解析に成功した。 オニグモ(コガネグモ科)は円形の網を張るクモの仲間で、自身をつるすとき、移動や卵を包むとき、餌を捕まえるときなど、それぞれ強さや伸びやすさが異なる糸を使う。さらに、一般にクモのゲノムサイズはヒトより大きい。ゲノム情報が膨大になることから、今回ゲノムシーケンスと遺伝子探索技術を新たに整備して、オニグモの複雑な糸遺伝子の探索を試みた。その結果、精度の高い長鎖DNA配列情報を大量に取得し、最終的にゲノム決定に成功した。 また、糸遺伝子の配列は非常に高度なリピート構造(同じ配列が何度も出現する構造)をとる。そこで最新のシーケンシング技術と独自開発の解析アルゴリズムを組み合わせて、全

    「クモの糸」の強さの秘密、慶應義塾大学などが解明
  • ソメイヨシノのゲノム解読に成功、開花時期の予測が可能に

    かずさDNA研究所、島根大学、京都府立大学は共同で、サクラを代表する人気品種であるソメイヨシノのゲノムを解読した。遺伝子分析により開花時期の予想が可能になるという。 今回かずさDNA研究所で、上野恩賜公園に植栽されたソメイヨシノのゲノム解読と島根大学が保有する139品種の解析(SNP解析)を行い、遺伝子予測や連鎖地図を作成した。また、島根大学と京都府立大学が共同で開花に関わる遺伝子を探索した。 その結果、通説通りソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラを祖先に持つ可能性を見出した。そのゲノム構造は、近縁種であるオウトウ(サクランボ)、モモ、ウメと良く似ていた。ソメイヨシノの2つの祖先種は552万年前に異種に別れたと推定され、この2種が百数十年前に交雑によって再び一つになることでソメイヨシノが誕生したと考えられる。開花前1年間(1ヶ月ごと)、および開花前1ヶ月間(2日ごと)の蕾の転写産物の解

    ソメイヨシノのゲノム解読に成功、開花時期の予測が可能に
  • 草原生態系は未利用資源の宝庫、京都大学など多数の微生物データを検出

    京都大学生態学研究センターの東樹宏和准教授、森林総合研究所の黒川紘子主任研究員、筑波大学山岳科学センターの田中健太准教授らの研究グループは、草原生態系の植物の葉や根に、膨大な種類の細菌と真菌が共生していることを見出した。 そこで、同研究グループは、植物の葉や根に共生する微生物の集まりを網羅的に分析するため、植物の種多様性が極めて高い長野県菅平高原において野外調査を実施し、33目137種の植物をサンプルとして収集した。植物に共生する細菌類(バクテリア)および真菌類(きのこ・かび・酵母)を「DNA メタバーコーディング」で分析したところ、7,991系統もの細菌および古細菌と5,099系統もの真菌が検出された。この中には、植物の成長を促進しうる微生物や、医薬品の原料物質を生産しうる微生物が多数含まれていた。さらに、日での報告事例が極めて少ない菌もあった。 成果は、草原生態系の中に、多数の有用

    草原生態系は未利用資源の宝庫、京都大学など多数の微生物データを検出
  • ヒストン遺伝子を全セット持つ巨大ウイルス「メドゥーサウイルス」の発見

    京都大学化学研究所の緒方博之教授らをはじめとする研究チームは、アメーバに感染する新規巨大ウイルス「メドゥーサウイルス」を発見した。 今回、同研究チームは、北海道にある温泉地域の湯だまりとその水底の泥土サンプルから、アメーバを宿主として新規巨大ウイルスを分離し、その感染過程・粒子構造・ゲノム組成の詳細を調査した。その結果、この新規巨大ウイルスは、これまでに知られていた巨大ウイルスと多くの点で異なる性質を持つことが分かった。 この巨大ウイルスは、アメーバを宿主として増殖するが、感染過程で一部のアメーバ細胞を休眠状態にする。この性質が、見たものを石に変える「メドゥーサ」を連想させるため「メドゥーサウイルス」と命名された。また、ヒストン遺伝子全セットを保持する初めてのウイルスであるなど、特異な粒子形態とゲノム組成から新たな「科」に属することが明らかとなった。 今後、メドゥーサウイルスの感染過程を分

    ヒストン遺伝子を全セット持つ巨大ウイルス「メドゥーサウイルス」の発見
  • 福井大学、ADHDの脳構造の特徴を人工知能により解明することに成功

    福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授とジョンミンヨン特命教授らは、ADHD(注意欠如・多動症)児の脳構造の解析に人工知能AI)を導入し、ADHD児には特定の脳部位に特徴があることを高い精度で明らかにした。 検討の結果、脳の148領域のうち眼窩前頭皮質外側など16領域の皮質の厚み、11領域の皮質の面積にADHDの特徴が現れることが判明し、74~79%の精度でADHDの識別が可能であることを見出した。 さらに、これらの脳部位のうち眼窩前頭皮質では、ADHDの要因の1つで、実行機能(作業記憶の苦手さ)に影響しているCOMT遺伝子の多型と脳構造との関連も確認できた。また、国際的なデータベースで検証したところ、米国・中国ADHD児でも73%の精度で農部位の特徴が確認され、国際的にも応用できる可能性が示唆された。 この検査手法は、測定時間が5分以内と短く、検査中に特定の課題遂行が

    福井大学、ADHDの脳構造の特徴を人工知能により解明することに成功
    fumirui
    fumirui 2019/01/06
  • 魚類の雄親が、次の繁殖の求愛行動を再開するために「子殺し」行動を行うことを発見

    長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科の竹垣毅准教授らの研究グループは、魚類の雄親の「子殺し」行動が、栄養補給のためではなく、次の繁殖の求愛行動を再開するために必要不可欠なプロセスであることを世界で初めて証明した。 そこで今回、同グループは、魚類の雄親による全卵行動の意味を探るため、海産小型魚類のロウソクギンポ雄から卵を除去、あるいは追加する野外操作実験を行い、巣内の卵の存在が雄性ホルモン(アンドロジェン)を調節する鍵刺激であることを示した。つまり、雄は全ての卵を巣から取り除かなければ求愛を再開できないのである。さらに興味深いことに、雄は卵をべずに巣の外に吐き出していることも確認された。これらの結果は、栄養利益を期待する卵ではなく子の存在を消すことを目的とした「子殺し」であることを強く示唆している。 成果は、魚類の卵行動を内分泌学的メカニズムからの全く新しいアプローチにより解明し

    魚類の雄親が、次の繁殖の求愛行動を再開するために「子殺し」行動を行うことを発見
    fumirui
    fumirui 2018/09/20
  • 水の持つ特別な性質について、東京大学が従来の通説を覆す発見

    東京大学生産技術研究所の田中肇教授らの研究グループは、これまで特異なガラス転移現象として説明されてきた水の動的異常性が、実はガラス転移と無関係であり、液体の正四面体構造形成に起因していることを初めて突き止めた。 この成果は、従来のガラス転移に基づく水の動的異常性に関する定説を覆しただけでなく、水の熱力学的異常と動的異常が、ともに正四面体構造形成という共通の起源に基づくこと明らかにした点にも大きなインパクトがある。 水は、人類にとって最も重要な液体であり、研究成果は、水の特異な性質そのもの理解に留まらず、生命活動、気象現象などとのかかわりの理解にも大きく貢献するものと期待される。 論文:【Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America】Origin of the emergent

    水の持つ特別な性質について、東京大学が従来の通説を覆す発見
  • ダイヤモンド中でエラー耐性のある量子演算処理に成功 横浜国立大学

    横浜国立大学の小坂英男教授らの研究グループは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心にある電子や核子のスピンを量子ビットとして用い、室温の完全無磁場下で、操作エラーや環境ノイズに耐性を持ち自在に多量子操作ができる万能な量子ゲート操作に世界で初めて成功した。室温万能量子コンピューターの実現が期待される。 研究では、磁場を完全に排除し、エネルギー差のない上向きと下向きのスピンを量子ビットとして用いた。エネルギー差がないため操作が困難になるが、操作エラーや環境ノイズに耐性がある。研究グループは、室温でも安定なNV中心にあるスピン量子ビットに、2の直交したワイヤーから「偏光したマイクロ波」を印加して幾何学的に量子操作することを提案し、量子ゲート操作(量子情報の演算基単位)の実験に成功した。「幾何学量子ビット」と名付けたこのスピン量子ビット操作手法は、課題であったエラーを排除して操作精度の限界を実質上なく

    ダイヤモンド中でエラー耐性のある量子演算処理に成功 横浜国立大学
    fumirui
    fumirui 2018/08/27
  • 東京大学の大学院生らが太陽系外惑星を一度に44個も発見

    東京大学のジョン・リビングストン大学院生(博士課程3年)らの国際研究チームは、一度に44個の新しい系外惑星を発見(実証)。国内で最多の発見数となった。チームは日以外、イタリア、ドイツスペイン、オランダの研究者・学生から成る。 今回、国際研究チームは、K2ミッションの生データから恒星明るさの超精密測定により有力な惑星候補を選出し、候補天体の地上からの撮像観測や分光観測でフォローアップを行った結果、一度に44個もの系外惑星の実証に成功した。これは日で最多の系外惑星発見数だ。 これによりK2ミッションで実証された系外惑星の個数は300個を優に超えた。ケプラー衛星からの1000個単位での候補天体リリースを除くと、極めて稀な多数発見の成果を大学院生が主導できたことは、系外惑星研究が若い人の活躍できる分野として期待できる。 既知の実証済み系外惑星数は約4000個だが、今回の発見は明るい小型惑星を

    東京大学の大学院生らが太陽系外惑星を一度に44個も発見
  • 自閉スペクトラム症児の母、発達障害に関する知識高いほど否定的感情は低下

    自閉スペクトラム症児の母、発達障害に関する知識高いほど否定的感情は低下 大学ジャーナルオンライン編集部 大阪大学大学院連合小児発達学研究科金沢校の冨山更大学院生、金沢大学医薬保健研究域医学系の三邉義雄教授、金沢大学子どものこころの発達研究センターの菊知充教授らは、自閉スペクトラム症(※1)の子どもを持つ母親のうち、発達障害に関する知識が高いほど診断時のネガティブな感情が低下することを世界で初めて突き止めた。 その結果、自閉スペクトラム症児を持つ母親は医療機関で診断を受ける前から、健常児の母親と比べて高いストレスと心理的苦痛を感じていることが分かった。さらに、母親が持つ発達障害に関する知識が高いほど子どもに対するネガティブな感情を持ちにくいことも明らかになった。特に診断時点でのネガティブな感情が緩和される可能性が示された。 自閉スペクトラム症児の母親が高いストレスにさらされているといわれてき

    自閉スペクトラム症児の母、発達障害に関する知識高いほど否定的感情は低下
  • 東南アジアと日本列島の人類集団の起源を解明、琉球大学などが古人骨全ゲノム解析

    琉球大学が参加する国際研究チームが、日列島の縄文時代遺跡や東南アジアから出土した人骨26個体のゲノム解析を実施し、今日の東南アジアで生活する人々の起源と過去の拡散過程を解明した。この国際研究チームは、コペンハーゲン大学が中心となって進めている古代ゲノム研究チームで、琉球大学医学研究科人体解剖学講座を含む日の考古学者、人類学者、遺伝人類学者およびゲノム研究者などから構成される研究グループが参画している。 今回、縄文時代から現代まで日列島人は大陸南部地域の人々と遺伝的に深いつながりがあることが分かった。これは、独立した複数の国際研究機関のクロスチェック分析によって科学的に実証された初めての研究だ。これらの知見は、日列島に居住していた各時代の人々の起源の解明に将来活用されるだけでなく、広く東アジア・東南アジアにおける人類集団の起源と拡散に関する研究に大きな寄与をもたらすことが期待される。

    東南アジアと日本列島の人類集団の起源を解明、琉球大学などが古人骨全ゲノム解析
  • 炭素だけの「ディラック準結晶」、大阪大学などが世界で初めて実現

    大阪大学の越野幹人教授らの研究グループは、2枚のグラフェンを30度の角度で重ねた薄膜を合成することで、ディラック電子による準結晶を実現することに世界で初めて成功した。研究グループには成均館大学、ニューヨーク大学上海、ハーバード大学、韓国高等科学院の研究者が参加している。 これまでに知られている準結晶は複雑な合金だったが、今回の研究で実現した準結晶の材料は炭素のみだ。炭素の2次元物質(厚さが原子1個分の薄膜)であるグラフェンは、炭素原子が蜂の巣格子に並んだ結晶。今回特別な合成方法により、グラフェン2枚が互いに30度で重なった系を生成することで、12回対称を持つ準結晶を実現した。12回対称とは360度回転させる間に同じ絵が12回現れる構造をいう。グラフェンの電子は、相対論的ディラック粒子とよばれる、質量のない特殊な粒子として振る舞う。今回の研究でディラック粒子による準結晶という新しい物理系を実

    炭素だけの「ディラック準結晶」、大阪大学などが世界で初めて実現
  • 染色体をほどいてDNAのエラーを修復する機構を世界で初めて解明

    九州大学大学院理学研究院、大阪大学大学院理学研究科、高知工科大学環境理工学群の共同研究グループは、ミスマッチ修復機構がヒストンからDNAをほどくことを世界で初めて発見した。 そこで今回、同グループは、DNA複製の誤りが生じた際のDNAの構造を調べた。その結果、複製に誤りが起こると、DNA修復因子とSmarcad1と呼ばれる因子がDNA上に集まり、周囲の巻き取られた構造を解きほどくことを初めて発見した。 ミスマッチ修復機構は発がんを防いだり、免疫細胞が抗体を作る反応を補助したりする機能を持っている。したがって、成果により、ミスマッチ修復の欠損によって生じるがんの研究等、医学研究への応用が期待される。 論文情報:【Genes& Development】Nucleosomes around a mismatched base pair are excluded via an Msh2-depe

    染色体をほどいてDNAのエラーを修復する機構を世界で初めて解明
  • 抗うつ薬が効く正確な理由解明、グリア細胞が役割 山梨大学など

    山梨大学の小泉修一教授らの研究グループは、うつ病治療薬が、神経細胞以外の新しい標的細胞「アストロサイト」に作用して治療効果を発揮することを発見した。研究には慶應義塾大学、岡山大学が協力した。 脳内には神経細胞以外にグリア細胞という細胞群が存在し、そのグリア細胞の一種で、神経細胞の物理的支持・栄養供給などを行うアストロサイトは、近年、神経伝達や脳機能にも影響を及ぼすことが明らかになっている。研究グループはこの細胞に注目した。 今回、研究チームは、代表的なうつ病治療薬であるSSRIのうち、フルオキセチンを用いて、アストロサイトに及ぼす影響を、マウスを用いた実験により詳細に解析した。その結果、これまで神経細胞への作用のみで説明づけられていたSSRIが、実は神経組織の支持細胞であるアストロサイトにも作用しており、アストロサイトでの「脳由来神経栄養因子(BDNF)」と呼ばれる成長因子の産生機構が、既

    抗うつ薬が効く正確な理由解明、グリア細胞が役割 山梨大学など
  • 名古屋大学がベンゼンをフェノールに変換する細菌を開発

    名古屋大学の渡辺芳人教授らの研究グループは、大腸菌の中にある酵素のスイッチを「ONの状態」にすることが可能な化学物質を開発し、ベンゼンを常温常圧の温和な条件下でフェノールに変換する細菌を開発することに成功した。 研究グループは今回、「シトクロムP450BM3」と呼ばれる酸化酵素を大腸菌に生合成させ、新たに開発した大腸菌に取り込まれる化学物質(疑似基質[注])を反応溶液に添加すると、ベンゼンがフェノールへと変換されることを明らかにした。この方法では、常温常圧の温和な条件でベンゼンをフェノールに変換できる。また、5時間の反応でフェノールの収率(フェノールに変換されたベンゼンの割合)は59%と高い。また、反応時間を調節することでフェノールがさらに酸化されたヒドロキノンを生成できる。 今回開発した菌体内反応系は、常温常圧の温和な条件下で、ベンゼンを直接的、かつ選択的にフェノールに変換できることから

    名古屋大学がベンゼンをフェノールに変換する細菌を開発