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ブックマーク / www.riken.jp (22)

  • 視覚に関わるタンパク質の超高速分子動画

    理化学研究所(理研)放射光科学研究センター 利用技術開拓研究部門 SACLA利用技術開拓グループの岩田 想 グループディレクター(京都大学大学院 医学研究科 教授)、分子動画研究チームの南後 恵理子 チームリーダー(東北大学 多元物質科学研究所 教授)、高輝度光科学研究センター XFEL利用研究推進室 実験技術開発チームの登野 健介 チームリーダーらの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)[1]を用いて、ロドプシン[2]という視覚に関わるタンパク質が光刺激によって1ピコ秒(1兆分の1秒)~100ピコ秒という超高速で変化する過程を、原子の動きまで克明に動画として捉えることに成功しました。 研究成果は、ヒトの視覚のメカニズムの理解につながるだけでなく、創薬ターゲットとして重要なGタンパク質共役型受容体[3]の活性化機構を理解する上でも重要な知見になると期待できます。 ロドプ

    視覚に関わるタンパク質の超高速分子動画
  • 細胞死を引き起こすサヨナラ遺伝子

    理化学研究所(理研)生命機能科学研究センタ ー動的恒常性研究チームのユ・サガン チームリーダー(理研 開拓研究部 Yoo生理遺伝学研究室 主任研究員)、池川 優子 大学院生リサーチ・アソシエイトらの国際共同研究グループは、過去20年以上にわたってショウジョウバエ[1]には存在しないと考えられていた細胞死[2]を引き起こす遺伝子[3]を発見し、「サヨナラ遺伝子」と命名しました。 研究成果は、従来の定説を覆す発見であり、細胞死の制御機構の普遍性について新たな概念を提示するものです。 細胞死の代表的なものとして、アポトーシス(細胞の自殺)[2]があります。アポトーシスについては従来、線虫[4]・ショウジョウバエ・哺乳類(マウス・ヒト)を用いた研究によりそのメカニズムが解明されてきました。その結果、線虫・ショウジョウバエ・哺乳類で、アポトーシスの起こる仕組みは非常によく似ている一方で、なぜかシ

    細胞死を引き起こすサヨナラ遺伝子
  • 赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけの科学

    理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター親和性社会行動研究チームの大村菜美研究員、黒田公美チームリーダーらの国際共同研究グループは、科学的根拠に基づく赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけのヒントを発見しました。 研究成果は、赤ちゃんの泣きに困る養育者のストレスの軽減や、虐待防止につながると期待できます。 黒田公美チームリーダーらは2013年、親が赤ちゃんを運ぶとおとなしくなる「輸送反応[1]」をマウスとヒトにおいて発見しました。しかしこの研究では、運ぶ時間が約20秒間と短く、かつ運ぶのをやめると赤ちゃんは再び泣き出すという課題がありました。 今回、国際共同研究グループは、赤ちゃんが泣いているとき、母親が抱っこして5分間連続で歩くと、泣きやむだけでなく、約半数の赤ちゃんが寝付くことを発見しました。また、親の腕の中で眠った赤ちゃんをベッドに置くとき、赤ちゃんが目覚めやすいのは親から体が離れるタイ

    赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけの科学
  • 有限温度状態での量子もつれに関する普遍的性質の発見

    理化学研究所(理研)革新知能統合研究センター数理科学チームの桑原知剛研究員(研究当時、現開拓研究部桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム理研白眉研究チームリーダー、量子コンピュータ研究センター量子複雑性解析理研白眉研究チーム理研白眉研究チームリーダー)と慶應義塾大学理工学部の齊藤圭司教授の共同研究チームは、量子力学に従う多粒子系(量子多体系[1])の熱平衡状態[2]では、一般に長距離に及ぶ「量子もつれ[3]」が存在しないことを示しました。 研究成果は、量子機械学習[4]を含む量子計算に関する手掛かりを多く与えるとともに、有限温度[5]で観測されるさまざまな量子的物理現象に関与する量子もつれの分類研究に寄与すると期待できます。 量子コンピュータ[6]を使った量子計算には、量子もつれが質的な役割を果たすため、量子もつれの有限温度における効果を解き明かすことは重要な未解決問題の一つでした。

    有限温度状態での量子もつれに関する普遍的性質の発見
  • シビレエイを用いた海底地形探査

    理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター集積バイオデバイス研究チームの田中陽チームリーダー、船野俊一研究員、田中信行上級研究員らの共同研究グループは、底棲生物[1]であるシビレエイ[2]の自律的な動きを利用し、海底地形図の作成が可能であることを実証しました。 研究成果は、海底の地形情報を幅広く社会に還元し、さまざまな分野で役立てることに貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、従来の計測機械を用いた海底探査とは全く異なる、底棲性で電源としても使えるシビレエイを生物エージェント[3]として用いた方法を提唱し、その手法の妥当性を検証しました。まず、大型水槽でシビレエイの撮影動画から動きをプロットし、シビレエイがほとんどの時間、底付近を動いていることを確認しました。次に、シビレエイに小型音響送信機のピンガー[4]を装着して海底に放ち、その位置を追跡することにより、海底の地形情報が

    シビレエイを用いた海底地形探査
  • クモ糸の階層構造を初めて再現

    理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チームのアンドレス・アリ・マライ研究員、沼田圭司チームリーダー(京都大学大学院工学系研究科教授)、慶應義塾大学先端生命科学研究所の荒川和晴准教授らの共同研究グループは、クモの牽引糸[1]の階層構造[2]を人工的に再現することに初めて成功しました。 研究成果は、天然のクモ糸と同様の構造と物性を示す糸を人工的に合成する技術開発の糸口になると期待できます。 クモの牽引糸は、その軽量かつ強靭な物性から、高強度構造材料など幅広い分野への応用が期待されていますが、その紡糸機構はまだ明らかになっていません。 今回、共同研究グループは、クモの牽引糸を構成するシルクタンパク質[3]の分子機構を明らかにし、シルクタンパク質が「液液相分離[4]」という挙動を経由し、網目状の微小な繊維(マイクロフィブリル)を形成することを示しました。さらに、マイクロフ

    クモ糸の階層構造を初めて再現
  • 新粒子「ダイオメガ」 | 理化学研究所

    理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター量子ハドロン物理学研究室の権業慎也基礎科学特別研究員、土井琢身専任研究員、数理創造プログラムの初田哲男プログラムディレクター、京都大学基礎物理学研究所の佐々木健志特任助教、青木慎也教授、大阪大学核物理研究センターの石井理修准教授らの共同研究グループ※「HAL QCD Collaboration[1]」は、スーパーコンピュータ「京」[2]を用いることで、新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を理論的に予言しました。 研究成果は、素粒子のクォーク[3]がどのように組み合わさって物質ができているのかという、現代物理学の根源的問題の解明につながると期待できます。 クォークには、アップ、ダウン、ストレンジ、チャーム、ボトム、トップの6種類があることが、小林誠博士と益川敏英博士(2008年ノーベル物理学賞受賞)により明らかにされました。陽子や中性子はアップク

  • 多感覚情報の統合機構 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チームの糸原重美チームリーダー、黒木暁リサーチアソシエイト、吉田崇将客員研究員、細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダー、早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻の大島登志男教授らの共同研究グループ※は、マウスを用いて、多感覚刺激に対する大脳皮質の新たな神経応答を発見しました。 複数の知覚情報の統合は、外界の情報を正確に素早く得る手段であり、高次脳機能の根幹をなします。これまで、大脳皮質の多くの領域におけて複数種類の感覚刺激(多感覚刺激)に対する応答が報告されていましたが、これらの領域がどのように連携して感覚情報を統合しているのか、明らかではありませんでした。 今回、共同研究グループは、信頼性の高い光学シグナルを興奮性細胞もしくは抑制性細胞選択的に発する遺伝子改変マウスを新たに作製し、感覚刺激がない状態と多感

    fumirui
    fumirui 2018/03/15
  • 数千個の1細胞からRNA量と種類を正確に計測 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)情報基盤センターバイオインフォマティクス研究開発ユニットの笹川洋平上級センター研究員、團野宏樹センター研究員(研究当時)、二階堂愛ユニットリーダーらの共同研究チーム※は、大量の1細胞由来RNAを網羅的、高精度かつ低コストで計測する高出力型1細胞RNAシーケンス法「Quartz-Seq2(クォーツ・セックツー)」[1]を開発しました。 私たちの体は、数百種類の細胞が適切に混ざり合って構成されています。体の臓器が数十年にわたって正常に働くためには、必要な細胞を必要なだけ供給する幹細胞が必要ですが、臓器には幹細胞がごくわずかしか含まれていません。多種多様な細胞集団や希少な細胞の機能を理解するためには、一つ一つの細胞の特徴を調べる必要があります。その方法として、1細胞ごとにRNAの種類と量を計測する「1細胞RNAシーケンス法(1細胞RNA-seq)[2]」があります。たく

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    fumirui 2018/03/14
  • 脳の深部を非侵襲的に観察できる人工生物発光システムAkaBLI | 理化学研究所

    脳の深部を非侵襲的に観察できる人工生物発光システムAkaBLI ―霊長類動物にも適用可能、高次脳機能のリアルタイム可視化への応用- 要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダー(光量子工学研究領域生命光学技術研究チーム チームリーダー)と岩野智基礎科学特別研究員らの共同研究グループは、ホタルが産生する化合物(基質)とタンパク質(酵素)をベースに新規の人工生物発光システムAkaBLIを開発し、生きた動物個体深部からのシグナル検出能を飛躍的に向上させました。 AkaBLIは、2013年に開発した人工基質AkaLumineと、AkaLumineに合わせて今回開発した人工酵素Akalucから構成されます。動物個体のバイオイメージングにおいては、一般的にホタルの生物発光システム(天然基質D-luciferin[1]と天然酵素Fluc[2])が用い

  • 1細胞から多種多様なRNAのふるまいを計測 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)情報基盤センター バイオインフォマティクス研究開発ユニットの林哲太郎センター研究員、尾崎遼基礎科学特別研究員、二階堂愛ユニットリーダーらの研究チーム※は、これまで検出が難しかった多様なRNA[1]の発現量と完全長を1細胞で計測できる「1細胞完全長トータルRNAシーケンス法『RamDA-seq』[2]」を開発しました。 細胞の多様性は、ゲノム[1]にコードされた数万の遺伝子[1]領域から転写されるRNAの種類や量によって決まります。そのため、一つ一つの細胞の中に存在するRNAの種類と量が分かれば、どの遺伝子がどのくらい働いているかが分かり、細胞や臓器の状態・機能をより深く理解できます。1細胞に含まれるRNAの種類と量を網羅的に計測する技術は、「1細胞RNAシーケンス法(1細胞RNA-seq[3])」と呼ばれます。最近、非ポリA型RNA[4]が細胞分化や疾患に関与する

  • 水に特有の物理的特性の起源を解明 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センター ビームライン開発チームの片山哲夫客員研究員(高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室研究員)、ストックホルム大学のキョンホァン・キム研究員、アンダース・ニルソン教授らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)[1]施設SACLA[2]を利用し、過冷却状態[3]にある水(H2O)の構造を捉えることに成功しました。 水は生命に不可欠な液体ですが、その挙動に関する理解は不完全です。例えば、温度を下げていくときの密度、熱容量[4]、等温圧縮率[5]といった熱力学的な特性の変化は、水と他の液体とでは逆の挙動を示します。そのため、水の熱力学的な特性については長年議論されており、いくつかの仮説が提唱されています。そのうちの一つが、水には密度の異なる二つの相があり、その間を揺らいでいるという仮説です。しかし、温度を0℃未満に下げた

    fumirui
    fumirui 2018/01/11
  • 哺乳類と爬虫類-鳥類は、独自に鼓膜を獲得 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)倉谷形態進化研究室の倉谷滋主任研究員、武智正樹元研究員、東京大学大学院医学系研究科の栗原裕基教授、北沢太郎元大学院生らの共同研究グループ※は、マウスとニワトリの胚発生において同じ遺伝子の働きを抑える実験を行い、進化の中で哺乳類系統[1]と爬虫(はちゅう)類-鳥類系統[2]がそれぞれ独自の発生メカニズムにより鼓膜を獲得したことの発生学的証拠を発見しました。 陸上脊椎動物は、空気中の音を聴くために、鼓膜[3]と中耳骨[4]を顎(がく)関節の近くに進化させてきました。中耳骨は、哺乳類では3個、爬虫類と鳥類では1個あります。これらの骨は化石にも残ることから、その進化の歴史をたどることができ、哺乳類の祖先で顎とその支持装置を構成していた骨が次第に中耳の骨へと変化していった様子が明らかになっています。しかし、どのようなきっかけで、哺乳類系統が爬虫類-鳥類系統よりも多くの中耳骨

  • 脳の基本単位回路を発見 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター局所神経回路研究チームの細谷俊彦チームリーダー、丸岡久人研究員らの研究チーム※は、哺乳類の大脳皮質[1]が単純な機能単位回路の繰り返しからなる六方格子状の構造を持つことを発見しました。 大脳はさまざまな皮質領野[2]に分かれており、それぞれ感覚処理、運動制御、言語、思考など異なる機能をつかさどっています。大脳は極めて複雑な組織なため、その回路の構造には不明な点が多く残っています。特に、単一の回路が繰り返した構造が存在するか否かは不明でした。 今回、研究チームは、大脳皮質に6層ある細胞層の一つである第5層をマウス脳を用いて解析し、大部分の神経細胞が細胞タイプ特異的なカラム状の小さなクラスター(マイクロカラム)を形成していることを発見しました。マイクロカラムは六方格子状の規則的な配置をとっており、機能の異なるさまざまな大脳皮質領野に共通に存在して

  • 小脳回路を正しく維持する仕組みを解明 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームの御子柴克彦チームリーダー、菅原健之研究員、久恒智博研究員らの研究チーム※は、運動をつかさどる小脳内の神経回路を正しく維持するために必要な分子メカニズムを発見しました。 私たちの脳では、数千億個の神経細胞がシナプス[1]を介して互いに結合し、神経回路を形成しています。神経細胞の樹状突起には、「スパイン[2]」と呼ばれる小さな突起が無数にあり、ここに他の神経細胞との連絡場所であるシナプスが形成されます。スパインは生後の発達過程で活発に形成され、成熟後の神経細胞では比較的安定に存在して、機能的な神経回路を維持しています。しかし、成熟後の神経細胞のスパインがどのようにして制御されるのか、そのメカニズムについては未だ多くの謎が残されています。 研究チームは、「カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼβサブユニット(Ca

  • アルミニウムのナノ構造体で「色」を作る | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)田中メタマテリアル研究室の田中拓男主任研究員(光量子工学研究領域フォトン操作機能研究チーム チームリーダー)、レニルクマール・ムダチャディ国際特別研究員の研究チームは、アルミニウム薄膜で作った「メタマテリアル[1]」で、可視光全域をカバーする「色」を作り出すことに成功しました。 光の波長よりも小さいナノメートル(nm、1nmは10億分の1m)サイズの構造体(以下、ナノ構造)を大量に集積化して自然界の物質では実現できない光学特性を持たせた人工物質をメタマテリアルと呼びます。ヒトの目は捉える光の波長の違いによって色を区別するので、ナノ構造の大きさや形を変えることでメタマテリアルが吸収する光の波長を制御すれば、さまざまな色を作り出すことができます。従来のメタマテリアルでは、吸収する光の波長が一つに限定されていたり、吸収する光の波長幅が広いためパステルカラーのような彩度の

  • 化学的手法でクモの糸を創る | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター酵素研究チームの土屋康佑上級研究員と沼田圭司チームリーダーの研究チームは、高強度を示すクモ糸タンパク質のアミノ酸配列に類似した一次構造[1]を持つポリペプチドを化学的に合成する手法を開発しました。また、合成したポリペプチドはクモ糸に類似した二次構造[1]を構築していることを明らかにしました。 クモの糸(牽引糸)は鉄に匹敵する高強度を示す素材であり、自動車用パーツなど構造材料としての応用が期待されます。しかし、一般的にクモは家蚕のように飼育することができないため、天然のクモ糸を大量生産することは困難です。また、一部の高コストな微生物合成法を除くと、人工的にクモ糸タンパク質を大量かつ簡便に合成する手法は確立されていません。 今回、研究チームはこれまでに研究を進めてきた化学酵素重合[2]を取り入れた2段階の化学合成的手法を用いて、アミノ酸エステル

  • 両極性動作する有機モット転移トランジスタを実現 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)加藤分子物性研究室の川椙義高研究員、加藤礼三主任研究員、柚木計算物性物理研究室の関和弘基礎科学特別研究員、柚木清司准主任研究員、自然科学研究機構分子科学研究所の山浩史教授らの共同研究グループ※は、有機物のモット絶縁体を利用して両極性動作する「モット転移トランジスタ[1]」を実現しました。 モット絶縁体とは、伝導電子を持つにもかかわらず、それらが互いに反発して身動きがとれなくなり絶縁体になっている物質のことです。モット絶縁体の電子相転移[2]を利用するモット転移トランジスタは、微細化において物理的な限界を迎えつつある既存のトランジスタを超える、次世代トランジスタとして注目を集めています。また、半導体を集積回路として利用するためにはp型半導体とn型半導体[3]を組み合わせる必要がありますが、モット転移トランジスタは原理的にp型(正孔型)、n型(電子型)のどちらとして

  • 並列計算で感覚情報を分解 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター神経適応理論研究チームの豊泉太郎チームリーダーらの研究チーム※は、神経回路型ハードウェア用いて複数の感覚入力を独立した成分に分解するためのアルゴリズム[1]を開発しました。 騒がしいパーティー会場で、複数の話者の話し声の中から注目する人の声を聞き分けることができるように、脳は複数の感覚入力を独立した成分に分解して処理することができます。この処理を「独立成分分析(ICA)[2]」と呼びます。これまで、計算機上でICAを実現するためのアルゴリズムが提案されていますが、神経ネットワークを模倣した神経回路型ハードウェア[3]への実装はさまざまな制限があり困難でした。 研究チームは、複数の信号源が混在する感覚入力を表現する入力神経細胞と感覚入力の中から元となる信号源の成分(独立成分)を抽出する出力神経細胞との間のシナプス強度[4]を、経験に応じてどのよ

  • 電気で生きる微生物を初めて特定 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダー、石居拓己研修生(研究当時)、東京大学大学院工学系研究科の橋和仁教授らの共同研究チームは、電気エネルギーを直接利用して生きる微生物を初めて特定し、その代謝反応の検出に成功しました。 一部の生物は、生命の維持に必要な栄養分を自ら合成します。栄養分を作るにはエネルギーが必要です。例えば植物は、太陽光をエネルギーとして二酸化炭素からデンプンを合成します。一方、太陽光が届かない環境においては、化学合成生物と呼ばれる水素や硫黄などの化学物質のエネルギーを利用する生物が存在します。二酸化炭素から栄養分を作り出す生物は、これまで光合成か化学合成のどちらか用いていると考えられてきました。 共同研究チームは、2010年に太陽光が届かない深海熱水環境に電気を非常によく通す岩石が豊富に存在することを見出しました。そして、電