新学期になって、さてどんな受験参考書を手にするか。悩んでいる人も多いに違いない。最近、全国紙の一面下に『チャート式数学』の書籍広告が出ているのを見つけ、懐かしかった。そのむかし、たいへんお世話になりました。 「文庫化」された参考書 本書『古文研究法』は、大学受験の古文の参考書として長年親しまれてきた。1955年に初版、65年に改訂版。洛陽社が延々と版を重ね、「受験のバイブル」「名著」として知られる。それだけではない。2015年には筑摩書房から文庫本として一般読者向けにも発売され、話題になった。受験参考書の世界でベストセラーやロングセラーは多々あるが、「文庫化」は珍しい。本書ぐらいではないか。 振り返ってみるに、受験参考書には二つのタイプがあると思う。一つは、本業でも著名な大先生が力を入れて執筆しているケース。もう一つは、「受験のプロ」が作成したケース。前者はしばしば「本格的」だが、「難しす