衛星などを保護する役割をもつ「フェアリング」が,打ち上げ時の大音響でどのような影響を受けるのかを調べる試験のようす。[撮影:西澤 丞,撮影地:JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)] 国産の固体燃料ロケット「イプシロン」の試験機(初号機)の打ち上げ予定日である8月27日がせまっている。新規開発され,従来の常識を変えるといわれる国産ロケットは,どのようにして生まれたのだろうか? その開発・製造過程に,科学技術や工業技術を中心に撮影するカメラマンの西澤丞氏が長期密着した。 ■ チタンの塊を削り出し,精密機器を組み付ける 部品の一つ一つが製造されている現場は,外見上は普通の金属加工工場だった。用途に応じて使い分けられるチタンやアルミ,特殊鋼などの中でも,チタンの加工がむずかしいという。削り出し自体は機械が行うが,その実行ボタンを押す前の設定をはじめとする段取りこそが重要で,各社のノウハウ