現代人は近代化された世界に生きていて、自分では非常にスタイリッシュに生きていると思っているかもしれません。しかし、実際は100万年くらい前に人類の祖先が地球上に現れたころから、遺伝子レベルのメカニズムも代謝のメカニズムも、何も変わっていないのです。そういう生物がこの飽食の時代に放り込まれている、というのが現代人の特徴と言えるでしょう。 人類の歴史をずっとみてくると、99・99%の時間、人間は「その日の食料をどうして手に入れるか」ということだけを考えていたわけです。 マンモスのような「ごちそう」を捕らえられるというのはとても稀なことでしかないので、基本的には常に飢餓状態におかれていた。だから、獲物がると食べられるだけ食べて、できるだけ脂肪として蓄積するような体質になっている。 それが急に飽食の時代に放り込まれてしまったものだから、ちょっと食べればすぐに太ってしまうし、メタボリック症候群に
人間の中には抑えることのできない破壊的衝動があって、それを正面から見据えて性悪論で政治を組み立てる必要があるという考えに私は傾いています。ちなみに、後悔しないために一番よい方法は、あの世を信じることです。そうすればこの世の出来事であれこれ後悔する必要はない(笑)。 一橋大学の著名な社会学者だった上原専禄さんは奥さんの末期を看取るなかで、社会学は生きている者しか対象にしていないが、実は死んだ者が多いんだということに気づき、歴史学の再構成を考える。死者との連帯を考えます。その成果の一端が『生者・死者―日蓮認識への発想と視点』(未来社)にまとめられています。その後、お遍路をするんです。その途中で死ぬんですね。この研究を敷衍すれば、イスラームのシャヒード(殉教者)とか、オウム真理教のポアの内在的論理がわかります。死者との連帯という形で、死者をどっちに味方させるかで革命の帰趨が決まるということになり
「自分はこの戦争に反対で、日本は戦争に負けると思っている。自分は無政府主義者だから、帝国主義戦争を支持しない。どちらの側も」 それでやられちゃったんだよ。飛んで火に入る夏の虫だった。思想の自由は、アメリカ人にだけ保障されるんだよ。逮捕されて、そのことが分ったね。(中略) それから、フォートミード陸軍基地内の捕虜収容所に入れられた。持ち物は、身の回りのものといくらかの本。 妙なもので、本は許可制になってるんだよ。私は読みたかったから、自分の部屋から取り寄せたんだけど、なかなか許可してもらえない。「これは牢屋で読むべきものじゃない」ってイーストボストンの役人て教養がないから、“Crime and Punishment(罪と罰)”なんて読んじゃいけないと言うわけよ。看守はドストエフスキーの名前も知らないんだからね。 そのとき都留重人が差し入れてくれた本が、プラトンの『共和国』の英語版。留
人は、自分のことを好きだと言う人のことを好きになる。嫌いだと言う人のことを嫌いになる。この当たり前な人生の理は、改めて考えてみるに人の世が、そんなふうに動いているということに、今さらながら感心するのである。 それにしても、可笑しいではないか。商売の場面に限らない。なぜ人は、自分を好く人が好きで、嫌う人が嫌いなのか。自分のことを良く言う人のことを悪く言わず、悪く言う人のことを良く言わないのか。この人心の正確な反応は、ほとんど物理の法則みたいじゃなかろうか。 やはり何かこう「自分」というものにとって、それが快なのか不快なのかということであろう。自分というものを、他人に認められることで認めるという、迂回路を経ているようである。だから、自分を認めない人間は、自分を認めさせてくれないから、認められない。不快である、嫌いである。と、こうなる。 しかし、これまた改めて考えてみるとに、自分が自分である
五木 足を高く上げるというのは、日本の軍隊の特徴であって、世界各国の軍隊がみんなそうではないんです。たとえば、北朝鮮とかドイツのナチは、まっすぐに伸ばした足をパッと上げて、バンと踏み下ろす。「グース・ステップ」というんです。これは、日本人にはなかなかできないんです。 望月 むずかしいでしょうね。 五木 このあいだ、高校野球の入場式を見ていて、つくづく感じたことがあるんです。いまの高校生は体位が向上して、脚がすらっと長くて、小顔で、スマートなんだけれども、歩きかたは、軍隊とおなじように、膝を高く上げて踏み下ろすようにしているんです。その姿を見ていて、つい思い出したのが、田植えなんですよ。望月さん、田植えの経験は? 望月 いえ、ないです。 五木 私は中学生のころ、朝鮮半島から引揚げてきて住んでいた九州の山村で、農業をやっていたんですよ。もちろん田植えも経験しました。田植えをやったり、田んぼの草
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