土地や建物を相続したときに行う不動産の名義変更「相続登記」。現在は任意の手続きだが、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、2024年をめどに義務化されることになった。一方で、登記が必要な人からは「何から手を付ければいいのか」と戸惑いの声も聞かれる。登記の専門家である司法書士に制度変更に際しての注意点を聞いた。 (砂本紅年) 東京司法書士会では、相続登記に関する問い合わせや相談が増えている。副会長の村上美和子さんは「義務化という強い響きから、不安を感じている人が多いようだ」と話す。 村上さんによると、相続登記をするには原則、まず相続人の特定と、相続人全員による遺産分割協議が必要だ。ただ、何世代も相続登記がされていない不動産では、相続人が数十人に膨らむことも珍しくない。相続人の特定に必要な戸籍謄本集めに手間がかかる上、会ったこともない人、連絡がつかない人、認知症などで意思表示ができな