プロ用の印刷には縁がないと思われていた、1台数万円程度のインクジェットプリンタも少し工夫すれば立派な生産機として使用できる。 東日本大震災は、印刷業界を根本から変えるかもしれない大惨事である。太平洋側の生産工場がことごとく被災し、印刷業界に関しても紙不足やインキ不足で騒いだのは記憶に新しい。 「騒いだのは」と過去形を使わせていただいたのは、現在の紙不足は一部を除いて随分落ち着いてきたという感じだからだ。もちろん中国からの緊急輸入に頼ったから「満足のいく品質の紙は、まだまだ品不足だ」というのが現実だろう。しかし、この震災により需要が冷えてしまっているので、紙もインキもダブつき気味になり始めているというのも、一面では正しいといえる。 さて、言いたかったのは紙の供給量の話ではなく、この震災が印刷を取り巻く環境や価値観を変えそう(変えてしまう)なのは確かだろう。印刷需要の冷え込みは一時的なものでは