このBlogは、私が物語研究の途上で出会った様々な発見や、物語をともに学ぶ人々との出逢いを綴ったものです。ごらんのみなさんにも物語文学の深遠なる森の如き世界の一端をお知りいただければ幸いです。 来年行われる大嘗祭。関連行事として行われるであろう豊明節会(とよあかりのせちえ)のクライマックスはやはり「五節の舞」。清少納言、紫式部も、この行事に関する記述は詳細で、特に舞姫に関しては、約10分間の舞による肉体的消耗の激しさに筆が及んでいることは、よく知られている。 三巻本『枕草子』85段 正暦4年(993)11月、中宮定子が五節の舞姫を選出した年の、最終日15日・辰の日の豊明節会の様子を記したくだりは以下のとおり。 ○ 果ての日も、負いかづきいでも騒がず。 『紫式部日記』寛弘5年(1008)11月21日条 ○ 舞姫どもの、<いかに苦しからむ>と見ゆるに、尾張守のぞ、心地悪しがりて往ぬる、夢のやう