平安時代の日本人は何を食べていたか。日本人は古来、食生活を軽んじて、これを詳細な記録に残すということをしなかったので、詳しいことはわからないが、幸い平安時代中期(10世紀前半)に編纂された辞書「和名類聚抄」が、当時の食物や調理に関する項目を設けているので、これを通じて平安時代の食生活の一端に触れることができる。 食べ物の種類について、和名類聚抄は、飲食部、稲穀部、菜蔬部、羽族部、毛群部、鱗介部、草木部といった具合に、独特の基準に従って分類している。そのままではわかりにくいのであるが、現代的な感覚にしたがって、これを分類整理してみると、次のようになろう。 まず主食として食べられていたであろう穀類には、稲類、麦類(大麦、小麦、カラスムギ)、アワ、キビ、ヒエなどがある。平安時代にもなると、主食としての米の地位は圧倒的だったと思われるが、上流階級は別として、庶民は米に加えてアワやヒエなどの雑穀を食
パルメニデスは、プラトンのイデア論にインスピレーションを与え、そのことを通じて、西洋哲学二千数百年の伝統の中で、格別の貢献をしたといえる。パルメニデスは形而上学の創始者と目されてしかるべき哲学者なのである。 パルメニデスは南イタリアのギリシャ人植民都市エレアに生まれた。プラトンによれば、ソクラテスが青年時代(紀元前450年頃)にパルメニデスと会ったとき、彼はすでに老人であったという。ここからして、紀元前515年頃に生まれたのだろうと推測されている。このパルメニデスを、ソクラテスは「畏敬すべきまた畏怖すべき人物で、あらゆる点で高貴な底知れないものを持っているようにみえた」と語っている。 パルメニデスはエレアのクセノパネスの弟子であり、またピタゴラス派のアメイニアスにも師事した。アメイニアスは高貴な人であったので、彼が死んだとき、パルメニデスは記念の神殿を建てさせたという。この逸話が本当のこと
「ですます」調といわれるように、「です」と「ます」は、今日の日本語において、丁寧語の代表格とされるものである。文章語に始めて「ですます」を採用したのは、言文一致運動の先駆者山田美妙で、明治19年の小説作品「嘲戒小説天狗」においてであった。だが、「ですます」調はなかなか文章語の主流にならず、「である」体や「だ」体に押されてきた。近年はその表現の自然さが再評価され、文章語の中でも盛んに用いられるようになった。 「ですます」が受けるのは、それが日常の話し言葉により近いからであろう。そこで、日本人がいつの時代から、これらの言葉を話してきたか、これは興味深いテーマである。現在NHKテレビで放映中のドラマ「功名が辻」の中で、山内一豊の妻千代が、「ありまする」とか「ござります」といった言葉を発しているが、「ます」については、足利時代から徳川時代への移行期に、民衆の間で広く使われるようになったのだろう。
先稿「子規の埋葬談義」の中で、埋葬の諸形態について触れ、別稿では、日本における火葬の始まりについて述べた。子規自身は土葬されたように、明治の半ば頃までは、日本人の埋葬は土葬が圧倒的に多く、火葬は一割程度だったとされる。それも京都などの既成の大都市や、真宗地帯に偏っており、殆どの人は土葬されていたのである。 火葬が急速に普及するのは戦後のことである。これには、都市化の進展が影響したと考えられる。また、都市化に伴い従来の大家族制度が解体し、ミニ家族を単位にした家族墓が普及したことも背景にあると思われる。昭和40年ころには、火葬の普及率は30数パーセントになり、今日では実に99パーセントを超えるほどに進んだ。 それにしても、長い歴史の中で、土葬に慣れ親しんできた民族が、かくも短期間のうちに火葬文化に染まるというのは、ある意味で驚くべきことである。戦後に整備された墓地・埋葬法令が、火葬の普及を助け
「ら」行の音を、現代の大方の日本人は、舌を上の歯茎にこすりつけるようにして発音しているにちがいない。なかには、「べらんめー言葉」といって、巻き舌で発音する仕方もあるようだが、この場合にも、「ら」についてはあるが、「る」や「れ」や「ろ」を巻き舌で発音する人は多くないと思う。それも東京言葉など、限られた地域の言葉でのみ見られるものだと思う。 「ら」行の音は、日本人が古代から用いてきたものである。日本語の動詞には、「る」で終る言葉が多く、それの活用として、「ら」行が用いられた。しかし、動詞以外で「ら」行が用いられることは多くはなく、まして、「ら」行が語頭に来る言葉は、古代の日本語にはなかったのである。(これは、古代の朝鮮語をはじめ、ウラルアルタイ系言語に共通することだという) 今の時代でも、「ら」行が語頭に来る言葉はそう多くはない。であるから、「尻取り」ゲームに勝つコツは、「ら」行で終る言葉を返
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