タグ

ブックマーク / blog.szk.cc (5)

  • 「ポケモンGO」を社会学的に考えるためのヒント

    以前から話題になっていたポケモンのキャラクターを用いた位置情報連動ゲーム(位置ゲー)である「ポケモンGO」が欧米でリリースされて1週間ほどが過ぎた。巷ではポケモンゲットに熱中する外国人や、関連株の値上がり、いわゆる「ポケモノミクス」についての話題でもちきりだ。日でも同作がリリースされれば海外のような、あるいはそれ以上の熱狂が起きるはずだと当て込んだ人々の落ち着かない動きも、こうした話題への注目に拍車をかけているようだ。 むろん、ポケモン関連市場は国内において非常に大きいから、リリースされればなんらかの動きはあるだろう。一方でまだ同作をプレイしていない僕には、それがコロプラからイングレスまで連なる「位置ゲー」の特徴や課題を共有するものであると見えるし、やや距離を置いて見ていたい気持ちになるところがある。ひとまずこのエントリでは、「ポケモンGO」に限らず、こうした技術が社会に拡がることはどう

    「ポケモンGO」を社会学的に考えるためのヒント
  • 「である」人と「する」人

    今も残る「である」ことと「する」ことの問題 丸山眞男の文章の中でもっとも有名なものといえば、おそらく国語の教科書で読んだ「「である」ことと「する」こと」(『日の思想』所収、1961年)になるだろう。あまりに有名なこの文章をいまさら要約するのも気が引けるけど、人を属性で判断する(○○である人だから××)近代化以前の日社会のしくみと、人を業績で判断する(○○する人だから××)近代社会のしくみの相剋を指摘し、両者の間の倒錯を再転倒する必要を論じる、というものだ。 確かにこの倒錯というのは今でも色んな場面で見られる。新入社員と飲み会、なんていうのがその例かもしれない。上司と部下というのは業績によって規定される、いわば「部下する」関係のはずだと考える新入社員は、「部下である」以上は社外の飲み会においても、座り位置からお酒の注ぎ方まで部下としてのあるべき行動が求められると考える上司の飲み会には出て

  • 「電子書籍元年」とオープン戦略の意味 « SOUL for SALE

    インターネットが登場した頃、これで紙のメディアは不要になると言われたことがあった。実際、オフィスでの文書のやりとりは徐々に電子化され、いまでは細かな文書はメールで送られることが普通になっている。けれどその一方で、コンピューターやインターネットに関する雑誌や書籍が売れるという出来事も起きたのだった。 昨年あたり騒がれた「電子書籍元年」も、それが既に三度目の「元年」であることがたびたび指摘されたが、電子書籍より、電子書籍やリーダーを特集した紙媒体が売れるという点でも、過去に何度か見た風景の繰り返しだったように思う。もっとも、デジタル化、情報化で世界が変わる、歴史が変わる、働き方が変わる、という話そのものが、1960年代から語られ続けている「狼少年」の類だったりするのだけど。 では何も変わっていないのかというと、もちろんそんなことはない。変わったとか変わってないとかは、変化する枠組の定義次第でな

    「電子書籍元年」とオープン戦略の意味 « SOUL for SALE
  • 教科書を読もう

    こないだの放送で説明しようと思っててできなかった話に、「教科書」の話題があったことを思い出したので書き付けておきたい。多くの大学生にとって、講義を受けるに当たっての教科書のコストというのは割と半端なくて、例えば甲南大学では平均すると3万円から4万円の教科書代がかかるのだという。このコストは事前に明示されることは(特に文系の場合)ほとんどなく、いざ講義を受けようと思ったところで示される場合が多い。保護者の経済状況の変化から学費を払えずに中退する学生が増えているという話は注目されても、カネがなくて教科書を買えないという話は、学生の怠慢扱いされてしまうので、あまり取り上げられることがない。 そもそも教科書代が高いのはなぜか。そこには構造的な問題があって、まず指摘しておかなければならないのは、教材の開発、つまり教科書を書くことが、研究者の業績の一部として認められているということ。教科書執筆は、研究

  • 12月のいただきもの

    教科書として使うというのは、できる限り古典をふまえているものがいい。それらは現代においてはそのまま受け入れられないものも多いが、さりとてそれを否定する「新しい古典」もさほど数はないので、結局古典からの距離で現代を語ることになるからだ。というわけでとてもよくできた古典読解の教科書。マクルーハン、オングに始まり、「沈黙のらせん」や「コミュニケーションの二段の流れ」「消費社会」など、基礎的な概念を把握するのに必要ながわかりやすく解説されている。「社会学ベーシックス」というシリーズの6巻らしいので、既刊も買ってみようと思う。 関係ないけど、以前、東さんが「英語圏のように古典をダイジェストで読めるリーダーが必要」と言っていたけど、こうやってまとめが出ると、逆にそれも必要かなと思う。書いてあることは説明すればわかる学生でも、「文体」のレベルで古典が読めない子がけっこういるのだ。

  • 1