──アメリカの図書館について書こうと思ったきっかけは何ですか。 2017年に初めてALA(アメリカ図書館協会)の年次大会に行き、アメリカの図書館の存在の大きさ、ライブラリアンたちが自信に満ちていろいろなことを語り合う姿に衝撃を受けました。もともと私には、日本では図書館を支える仕組みがうまくいっていないのでは、という問題意識があり、アメリカの図書館制度の歴史的発展を調べて書きたいと考えたのです。 ──フレデリック・ワイズマン監督の映画『ニューヨーク公共図書館エクス・リブリス』(2019年日本公開)も話題になりましたね。 映画が大ヒットしたのは嬉しいことで、この本を書くモチベーションの一つにもなっています。ただ、あの作品には一切説明がないので、「なぜ図書館で音楽会が行われているのか」「話し合いをしている人は誰か」などが分かりません。そこで、このようなことが可能になった背景を書こうと思いました。