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ブックマーク / esu-kei.hatenadiary.org (3)

  •  執拗な既成史観の否定と勇み足の結論 ― 呉座勇一『戦争の日本中世史』(評価・B−) -  esu-kei_text

    戦争の日中世史: 「下剋上」は当にあったのか (新潮選書) 作者: 呉座勇一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/01/24メディア: 単行この商品を含むブログ (13件) を見る 戦後の「階級闘争」史観を否定すべく、様々な史料で検証した労作。 足利将軍の失策を、現代日になぞらえた結論には大いに疑問。 『「下剋上」は当にあったのか』という副題から、戦国時代を連想する人が多いと思うが、日史における中世とは戦国大名の登場を持って終わる。 書で多く紙面を割いているのは、鎌倉末期から室町初期に至る「南北朝」時代の実態だ。 現代の若者にとって、南北朝時代は、戦国時代や幕末に比べて、なじみがうすいのではないか。理由のひとつは、主役であるはずの足利尊氏の政治姿勢の一貫性の無さであろう。おかげで、「攻めやすく守りがたい」古都・京都は四度の攻略を受けることになる。従来の史家の中には「足

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  •  「正しい」日本語にこだわるな! ― 今野真二『かなづかいの歴史』(評価・B) -  esu-kei_text

    かなづかいの歴史 - 日語を書くということ (中公新書) 作者: 今野真二出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/02/24メディア: 新書この商品を含むブログ (6件) を見る 平安時代から明治にかけて、かなづかいは揺れ続けてきた。 「他表記性」を失った日語を「正しい」とする現代の常識を疑え。 Q.「報告」という漢字にふりがなをつけなさい。 上の問いに、たいていの人は「ほうこく」と答えるだろう。「ほーこく」「ほおこく」では間違いとなる。 ひらがなは表音文字といわれることが多いが、音通りに表記するとはかぎらない。子供や外国人が戸惑う特殊なルールがあるのだ。 その規範が、かなづかいである。 例えば、日語を並べるのは「五十音順」といわれる。実際は「44音+1」である。文字数は「45文字+1文字」。いろは文字で出てくる「ゐ」や「ゑ」をいれても「47文字+1文字」で、五十音には届

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  •  日本兵捕虜はいかに堕落したか? ― 大岡昇平『俘虜記』(評価・S) -  esu-kei_text

    俘虜記 (新潮文庫) 作者: 大岡昇平出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/08/14メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (41件) を見る 捕虜収容所内での日兵は、盗みと賭博とオカマ演芸に夢中だった。 文学者だからこそ表現できた、堕落のリアリズム。 フィリピンの日兵捕虜収容所は鉄条網に囲まれていた。その目的は二つあったと著者はいう。 一つは脱走を防ぐためである。しかし、著者の1年にわたる収容所生活の中で、脱走例は1件だけだった。米軍の捕虜であるかぎり、1日2700kcalの事と安全が保証される。収容所の外に出れば、その贅沢を享受できないことは、日兵なら誰もが知っていた。 もう一つは、現地人であるフィリピン人から身を守るためである。日兵のフィリピンでの残虐行為は、マニラやバタンガスのものが有名らしい。 (第2次世界大戦でのフィリピン人の犠

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