大国隆正における〈古言〉論ー「言葉は後より出てきたるものと知られたり」ー.pdf - Google ドライブ 一.問題の所在 大国隆正(1792ー1871)は、『学統辨論』(1857年成立)の中で次のように述べている。 おのれがかくのごとく、わが学統をもわきまへしも、みな文字のたすけによることなれば、これは学者はまづしりおかでかなはぬことゝおもふにより、いまこの書に文字のおこりをしるしおきて、わが神道狭小ならぬよしを、まづ学者にしらしめおかんとす。*1 かくのごとく、地球上の言語、地球上の文字こと/"\く、わが古伝にみえたる天神・地祇のみはからひにもれざることをしり、外国のことをも集めて大成し、わが固有の神道を万国におしおよぼすなん、わが学統の本意にありける。*2 本稿の目的は、幕末維新期にかけて活躍した大国隆正の言語論とその思想に焦点を当てて、幕末国学言語論の思想的位相について考察を行う