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ブックマーク / note.com/kentarotakahash (5)

  • ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』20周年|kentarotakahashi

    海外のミュージシャンのインタヴューを読んでいると、トラブルをそこまで赤裸々に語ってしまうのか!と思うことが少なくない。日人ならば、公言するのを憚るような内部的なトラブルも、彼らは躊躇なく語る。バンド内の揉めごともアルバム制作が抱えた問題も。そして、時にそれは、リスナーを当惑させるものにもなる。 ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』は、まさに、そんな当惑を伴ったアルバムだった。1993年9月に発表された三枚目のオリジナル・アルバムで、巨大なヒット作となった1991年の『ネヴァー・マインド』のフォローアップでありながら、まったく違う方向性のプロダクションに進んだ作品でもある。僕の場合は、『ネヴァー・マインド』に熱狂する友人達を醒めた目で見ていたのが、その『イン・ユーテロ』を聞いて、急激にニルヴァーナというバンドに興味を惹かれた。1993年11月にはリリースに合わせた全米ツアーを観た。その年のアル

    ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』20周年|kentarotakahashi
  • 高橋悠治『エリック・サティ 新ピアノ作品集』|kentarotakahashi

    昨年、発表した小説『ヘッドフォン・ガール』の読者から、こんな不満を寄せられたことがある。主人公が聴いているエリック・サティがパスカル・ロジェのCDだったのが通俗的で、残念だったというのだ。通俗的というのは確かにその通り。だが、主人公が聴いているサティは物語の進行とともに演奏者が変わっていく。最初に登場するのが90年代にポピュラーだったパスカル・ロジェで、それは時代背景と合せて、入門用になりやすいCD作品を意図的に選んだのだった。 そんな細かな描き込みをしていたので、小説を書いている時にはいろんなピアニストのサティ作品集をチェックした。だから、今さら「ジムノペティ」を聴いて驚くような経験が待っているとは思いも寄らなかった。数日前に届けられた高橋悠治『エリック・サティ 新ピアノ作品集』を聴くまでは。 高橋悠治は1976年にLPの『エリック・サティ ピアノ作品集』を発表して、日でのサティ・ブー

    高橋悠治『エリック・サティ 新ピアノ作品集』|kentarotakahashi
  • 映画『エリス&トム』と「三月の水」のベースライン|kentarotakahashi

    渋谷ユーロスペースでブラジル映画祭。『エリス&トム』を観てきた。天才二人がオフで好きな歌を歌ってるシーンとか、気絶しそうなくらい良かった。ブラジル音楽の好きな人は必見だ。 ただ、字幕は酷かった。エンジニアのフンベルト・ガティカが今の音楽はコンプレッションが強くて、と眼前に手をかざして説明してるのに、「今の音楽は要約されている」とか。果ては「三月の雨」というのが二回も出てきた。ブラジル大使館も絡んだ日語版の上映で、誰も気が付かなかったのだろうか。 ジョビンが1970年代になって書いた「三月の水〜Águas de Março」は、映画中でも最も重要な曲である。ただ、「三月の水」は冒頭からエンディングまで何度も流れるものの、レコーディング時の具体的なエピソードは一つも出てこなかった。 実は、とある原稿書くために、この曲に関して、最近、研究していたところだった。映画を観たら、ぶわ〜っと思うところ

    映画『エリス&トム』と「三月の水」のベースライン|kentarotakahashi
  • 上念司との「レイシスト・フレンド」裁判で私が東京高裁に提出した陳述書|kentarotakahashi

    陳 述 書 東京高等裁判所 御中 高橋健太郎 2023年5月29日 1 私が音楽評論家となった経過とレイシズムについて 私は1970年代の終わり頃から音楽評論の仕事を続けています。 私にとって、音楽評論が職業として確立される大きなきっかけになったのは1982年にジャマイカに取材旅行したことでした。私はジャマイカのレゲエ音楽に強い興味を持っていました。そして、現地取材で専門的な知見を高めることで、多くのメディアから執筆依頼を受けるようになりました。 ジャマイカのレゲエは強いメッセージ性を持つ音楽で、そこでは奴隷制や植民地支配の苦難がしばしば歌われます。そういうレゲエを聴くことから、私も「レイシズム」というテーマに向き合うことになりました。 2 レゲエとレイシズムについて ジャマイカからの移民が多く住むイギリスでもレゲエは高い人気を持ちます。移民やイギリス生まれの移民二世によるバンドが、ブリテ

    上念司との「レイシスト・フレンド」裁判で私が東京高裁に提出した陳述書|kentarotakahashi
  • アーチー・ベル&ザ・ドレルズ『タイトゥン・アップ』徹底解説|kentarotakahashi

    アーチー・ベル&ザ・ドレルズの「タイトゥン・アップ」は、数多くの人々に愛されてきたR&Bのダンス・ナンバーだ。オリジナル・シングルの発売は1967年の12月。アメリカでは翌年になってから大ヒットして、ポップ・チャートとR&Bチャートの両方でナンバーワンを獲得。永遠のディスコ・クラシックと言える1曲となり、その後も数多くのアーティストにカヴァーされた。日ではアーチー・ベルのオリジナルよりもYMOのカヴァー・ヴァージョン(1980年の『増殖』に収録)で知ったという人の方が多いかもしれない。 アーチー・ベル&ザ・ドレルズのアルバム『タイトゥン.アップ』は、その大ヒット・シングルをフィーチュアして、1968年の5月にリリースされた彼らのデビューLPになる。当時は日では発売されることがなく、1996年にCDで初めて日発売された。CDのライナーノーツは故桜井ユタカさんで、アーチー・ベル&ザ・ドレ

    アーチー・ベル&ザ・ドレルズ『タイトゥン・アップ』徹底解説|kentarotakahashi
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