“結婚してください”そんなメッセージを活版印刷で1枚だけ名刺サイズで作った。などと話してくれたのは明治からつづく銀座にある中村活字さん。以前フランスの印刷博物館をお伝えして以来、活版印刷にはまった僕は、その博物館にあるアトリエの友の会に入って活版印刷修行中。そこで、今回日本の活版印刷を見たいと思い老舗の活版工房にお邪魔した。 入り口に飾られている半纏にはTの文字。活版印刷を英語で言うとTypographyという。その頭文字を使っている。この半纏は昭和のものでなんと粋な半纏か。 創業明治43年。関東大震災、太平洋戦争の空襲を経験した。幾多の困難を乗り越えていまも銀座で活字を使った印刷を守り抜いているのだ。壁にはぎっしりと並んだ活字のひきだし。ここに書体やサイズの違う活字が納められている。ひらがなは“いろはにほへと”順に並べられ、漢字は部首別に並んでいる。そこから必要な文字を抜き出して原稿の通