明治維新まではほとんど西洋音楽には触れることの無かった日本人が、今では完全に西洋音楽の体系に組み込まれており、昔の伝統音楽は一般の人々は聞くことも少なくなっています。 正月などには宮城道雄の「春の海」が流れることもありますが、実はそれは日本伝統の音楽とはかなり異質なもので、西洋音楽に触れながら変質したものだということもほとんどの人は気づきません。 音楽史の研究者でもある著者が、日本人がいかに西洋音楽に触れ、そして取り入れていったか。(そして完全にそれに取り込まれてしまったか)の過程を非常に詳しく解説したものが本書です。 現代の人が西洋音楽と取り入れた過程について抱く印象は、明治政府の欧化政策により自然に進んだというものでしょうが、そう簡単なものではなかったと言うことです。 明治以前に実は西洋音楽も一度日本に入っていました。戦国時代末期にキリスト教宣教師とともに聖歌などが楽器と共に来日したそ