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ブックマーク / webgenron.com (4)

  • カリブ海の記憶と逃走/闘争する奴隷たち──ポスト西洋的な「自由」概念としてのマルーン化|中村達

    2015年8月、日が戦後70年を迎えた月に、私はイギリスによる植民地支配からの独立後53年目となったカリブ海の島国、ジャマイカにいた。それまで東京の大学で英文学を学んでいた私は、飛び出すように大学院を退学し、ジャマイカの首都キングストンにキャンパスをもつ、西インド諸島大学の博士課程へ留学したのだ。 西インド諸島大学モナキャンパスの英文学科は、英語では“The Department of Literatures in English”と複数形をもちいて表記される。もともと西インド諸島大学は、ジャマイカがイギリスの植民地だった時代に、ロンドン大学の分校として設立された過去をもつ。そのカリキュラムはイギリス国と同一であり、シェイクスピアやワーズワースといったイギリス人作家だけが教えられた。その後、アメリカ人作家の作品もカリキュラムに加えられる。しかしカリブ海の作家たちが授業に取り上げられるこ

    カリブ海の記憶と逃走/闘争する奴隷たち──ポスト西洋的な「自由」概念としてのマルーン化|中村達
  • 世界は五反田から始まった 特設サイト

    上田さんはじめ、ゲンロンの皆さんを幾晩も夜なべさせ、ようやくここまで辿り着き、いまは感無量です。これまでそれなりには出してきましたが、これほど嬉しい校了は初めてです。今晩は、ひとり、家でこの喜びに酔いしれたいと思います。 この格的な編集作業は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった、まさにその頃に始まりました。ロシアをよく知る上田さんが最も心を痛めていた時期です(今もですが)。二人で会うと、旧社会主義国家の話や、日中国はじめアジア諸国を侵略した時代の話になり、過去と現在がつながりました。 それと私は町工場の娘なので、心痛と多忙の極みにある上田さん(社長)が夜なべをして編集に全力を傾け、その負担を軽減しようと東さん(私の感覚では会長)がコピーをとったりCDを焼いたりする姿に、感じ入りました。社長と会長ががんばる。まさに私が育った町工場のような世界がそこにはありました。 奇妙なのです

    世界は五反田から始まった 特設サイト
  • 私たちにとって仏教論争とはなにか?──師茂樹×おかざき真里×亀山隆彦「仏教と論争、あるいは歴史を描くこと」イベントレポート

    天台宗の開祖として知られる最澄が亡くなってから、1200年の節目となった2021年。その年に、2つの著作が実を結んだ。 ひとつは、9月に完結を迎えたおかざき真里の『阿・吽』。マンガ家のおかざきは等身大の最澄を、同時代に生きた空海や南都仏教の人々とともに圧倒的な想像力で描いた。 次月の10月には、花園大学教授で仏教学者である師茂樹の『最澄と徳一──仏教史上最大の対決』が刊行された。タイトル通り、仏教史上最大の論争とされる最澄と徳一の論争を読み解いた著作である。 ゲンロンカフェでは、去る11月20日にこれらの刊行を記念したイベントを開催した。登壇者はおかざきと師に加え、私塾「上七軒文庫」を師とともに運営する仏教学者の亀山隆彦。マンガ家と仏教学者がともに1000年前の仏教者に挑む、濃密な6時間の一部をご紹介したい。(ゲンロン編集部) 1000年前の仏教者を描くには──イメージソング・文字・阿頼耶

    私たちにとって仏教論争とはなにか?──師茂樹×おかざき真里×亀山隆彦「仏教と論争、あるいは歴史を描くこと」イベントレポート
  • ひとをつなぐ辞典、ひとがつむぐ言葉──飯間浩明×山本貴光×吉川博満「映画『博士と狂人』公開記念」イベントレポート

    今月(2020年10月)公開の映画『博士と狂人』の公開を記念し、「ひとをつなぐ辞典、ひとがつむぐ言葉」をテーマに企画されたイベント。映画が、19世紀後半のイギリスを舞台に、世界最大級の英語辞書『オックスフォード英語辞典』(OED)編纂にまつわる実話を描いた作品だ。登壇するのは、『三省堂国語辞典』の編集委員であり、辞書づくりのおもしろさを伝える著作や情報発信で知られる飯間浩明と、ゲンロンカフェでもおなじみの山貴光・吉川浩満コンビ。山歴史的価値から辞書を紐解くテクスト「この辞書を見よ!20 言葉のアーカイヴ形成史」(『投壜通信』所収)の著者でもある。そんな3人に、『博士と狂人』を出発点として、辞書の歴史、果たしてきた役割、そして今後予想される変化について語ってもらった。 辞書とアイデンティティ 吉川は、『博士と狂人』の見どころについて、メル・ギブソンやショーン・ペンといった名優の演技と

    ひとをつなぐ辞典、ひとがつむぐ言葉──飯間浩明×山本貴光×吉川博満「映画『博士と狂人』公開記念」イベントレポート
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