今月(2020年10月)公開の映画『博士と狂人』の公開を記念し、「ひとをつなぐ辞典、ひとがつむぐ言葉」をテーマに企画された本イベント。映画が、19世紀後半のイギリスを舞台に、世界最大級の英語辞書『オックスフォード英語辞典』(OED)編纂にまつわる実話を描いた作品だ。登壇するのは、『三省堂国語辞典』の編集委員であり、辞書づくりのおもしろさを伝える著作や情報発信で知られる飯間浩明と、ゲンロンカフェでもおなじみの山本貴光・吉川浩満コンビ。山本は歴史的価値から辞書を紐解くテクスト「この辞書を見よ!20 言葉のアーカイヴ形成史」(『投壜通信』所収)の著者でもある。そんな3人に、『博士と狂人』を出発点として、辞書の歴史、果たしてきた役割、そして今後予想される変化について語ってもらった。 辞書とアイデンティティ 吉川は、『博士と狂人』の見どころについて、メル・ギブソンやショーン・ペンといった名優の演技と