2022年3月25日掲載 取材・文 中川 隆夫, ブルーバックス編集部 1000年前の巨大津波 日本列島近海の海溝を震源とする「海溝型地震」のなかでは、南海トラフと千島列島沖が最も危ないといわれている。政府の地震調査研究推進本部が発表した最新の長期評価によれば、南海トラフ地震が起こる確率は今後40年間で90%だ。 このような地震の発生確率は、どのようにして計算されているのだろうか? 当該地域で過去に起きた地震の履歴を調査し、巨大地震の発生サイクルを割り出す。なにごとも、過去を知らなければ未来はわからない。難しいのは、いかに巨大地震といえども、数百年前となると確かな記録が残っていないということだ。 しかし、「記録が残っていない=地震がなかった」では、もちろんない。 2021年、千葉県東部の九十九里浜で、約1000年前に巨大津波を引き起こした地震が発生していたとする論文が報告された。 歴史記録