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ブックマーク / www.bungakukan.or.jp (8)

  • プロレタリア文化運動の光芒

    〈プロレタリア文化運動の光芒〉とは何か? 「プロレタリア文化運動の光芒」と題した展の意図は、おもに2点ある。1つは、これまでの日近代文学史において大書されるいわゆる〈プロレタリア文学〉に限定せず、広く文化運動として捉え、世界の藝術運動との同時性を描くこと、2つに、これまでのプロレタリア文学史というと、その期間は普通1922、3年から始まり1933、4年頃まで、つまり関東大震災前後から文化運動組織の解体までとするが、展は第1次世界大戦前後の世界の藝術革命と連動させることで始め、終りの時期は、1932年以降の転向期から37年のいわゆる日中戦争以後、わずかな例外を除いて、時代に吸収されていく経緯を対象とすることにある。 この間プロレタリア文化運動は様々な曲折があったが、その曲折の時期は戦争の始動の時期と明らかな対応がある。展はそのことにも着目した。第1部の第1次世界大戦を除いて、プロレタ

  • 資料は語る2023―鉄道と文学

    2023年度の講座「資料は語る」を4月より開講いたします(後期:9月開講)。 今年度は、「鉄道と文学」というテーマで、鉄道を描いた文学作品や文学者の鉄道の旅をとりあげます。日における鉄道開業150年を経た今、近代文学の中の鉄道にあらためて光を当てます。 前期・後期各3回で、それぞれのテーマに造詣や関心の深い研究者の先生をお招きします。会場には各回の内容に関連する貴重資料を展示し、講師の先生方にはこれらの資料を用いながらお話をしていただきます。 会場:日近代文学館ホール 前期 二葉亭四迷とシベリア鉄道 日時:2023年4月15日(土) ※定員に達したため、申込受付を終了しました(2023.4.4) 講師:高橋修 共立女子短期大学教授 二葉亭四迷がシベリア鉄道でペテルブルグを目指したのは1908(明治41)年7月2日。十日余りの旅程だった。しかし、帰途は一月余りをかけた船旅となってしまった

  • 文学事典のこれまでとこれから―デジタル版『日本近代文学大事典』リリース記念―

    近代文学館は、創立10年にしてこの『日近代文学大事典』という大きなプロジェクトに挑み、6年の作業をへて刊行しました。その1977(昭和52)年にはすでに日の近代文学は質量ともに高い評価を得て、世界でも注目されるようになっていました。文学に惹かれるまま、人物名や新聞雑誌、事項など、次々と糸をたぐるように新たな知識と情報を得ることができる、それは文学という巨大都市の案内図として機能したのです。もちろん、それ以前から文学事典は読者の需要を獲得しつつありました。その最高峰が『日近代文学大事典』だったのです。今はインターネットによりさまざまな情報を簡単に入手することができます。しかし、その情報は果たして正確なのか、読者は確証をつかめません。情報提供者の正統性が問われることになります。増補改訂デジタル版は、日近代文学館が編集主体となって公表されるものですから、安心してご利用いただけます。今

  • 芝居は魂だ! 築地小劇場の軌跡1924-1945

    展について 最近、新国立劇場で三好十郎「斬られの仙太」の公演がありました。初演は築地小劇場です。彩の国さいたま芸術劇場でリーディング公演があったピランデルロ「作者を探す六人の登場人物」も築地小劇場で日初演。SFの古典カレル・チャペック「ロボット」の日初演も築地小劇場でした。今でもよく上演される久保田万太郎「大寺学校」、久保栄「火山灰地」、森薫「怒濤」も築地小劇場初演でした。シェイクスピア、ゴーゴリ、イプセン、ストリンドベリ、チェーホフ、ゴーリキーなどの作品は日では以前から上演されていましたが、築地小劇場でもさかんに取り上げています(このうち「民衆の敵」「令嬢ジュリー」「三人姉妹」などは築地小劇場が日初演のようです)。築地小劇場は世界文学の窓であり、日の劇作家を奮い立たせる空間でもあったのでしょう。 文学座、劇団民藝、俳優座、文化座は、築地小劇場で活躍した人たちが作った劇団(ま

  • 日本をゆさぶった翻訳―明治から現代まで

    をゆさぶった翻訳―明治から現代まで.pdf 媒介者 メディア としての翻訳——東西文化の懸け橋 翻訳の文化形成に関わる力は大きい。それはいつの時代にも当てはまることだが、とくに未知の新しい他者である西洋的知見と遭遇した明治期には、われわれの想像を超える大きな役割を担った。物質文明から精神世界にいたるまで、翻訳行為は東西の言語共同体を「媒介」し、受けとめる側の発想の枠組みを組み替えるだけでなく、われわれが拠って立つシステムを映し出す鏡にもなっていたと思われる。 しかし、発信者のメッセージを受けとめるべきことばも概念も持ち合わせていなかった明治の翻訳者たちは、原文の意味するところそのままに再現すべくもなかった。洋の東西を跨ぐのは容易なことではなく、そこには彼らの時に大胆で時に繊細な悪戦苦闘の歴史が刻み込まれている。「翻訳」とは、閉じられた空間に攪乱 かくらん と葛藤をもたらす媒介行為であり

    日本をゆさぶった翻訳―明治から現代まで
  • 小説は書き直される―創作のバックヤード

    冬季企画展 「小説は書き直される―創作のバックヤード」 小説は生きている 今回の展示は、われわれが日頃、当たり前のように慣れ親しんでいる名作が、どのように書かれ、活字化されるのか、さらにそのあともいかに読み継がれ、書き直されていくのかという、時間の歩みを追いかけていくことにねらいがあります。 作者はまず小説の着想をメモや草稿の形にし、何度も書き換えながら浄書していきます。その際、さまざまな資料が参照されることになりますし、著名な古典が翻案されることもあるでしょう。一個の小説は、先行するテクストとの無数の見えざる「対話」から成り立っているわけです。原稿用紙はまさに生みの苦しみの現場で、書き直しや削除の跡から、一個の虚構世界が構築されていくプロセスをたどることができます。活字化は小説が密室から社会に羽ばたく決定的な〝事件〟ですが、小説の一生はここで終わるわけではありません。さまざまな評価にさら

  • ご存知ですか?税額控除

    会員の皆様、ご寄付くださいました皆様へ 当館へのご寄付に対する税の控除についてのご案内 昨年1年間(1月~12月)にたまわりました維持会・友の会会費をはじめ当館へのご寄付につきましては、確定申告時に「公益社団法人等寄附金特別控除」として以下の控除が受けられます。 毎年確定申告の時期が近づきましたら(2月上旬)、文学館からご案内を郵送させていただいております。内容をご確認のうえ、所轄の税務署や確定申告会場にてお手続きください。 個人所得税 1年間に支払った特定寄附金のうち、公益社団法人等に対する一定の要件を満たす寄附金(維持会・友の会会費をはじめ当館へのご寄附はこれに該当します)は、「A.支払った年分の所得控除として寄附金控除の適用を受ける」か、または「B.税額控除の適用を受ける」か、いずれか有利な方を選択できます。 A.所得控除額=(所得金額-(控除対象寄附金の合計額-2,000円))×所

  • 少年少女雑誌にみる近代/川端康成と「文藝時代の人びと」

    主な出品資料 第一部 立身出世と良賢母女――近代国家の少年少女(明治) 明治の少年少女雑誌には近代国家の建設を急ぐ当時の社会状況が如実に反映され、国家有為の人材育成を意図したものが多く見受けられます。「小国民」は、明治22年の創刊号で「諸君が『小国民』を愛せらるゝは即ち国家を愛せらるゝ精神の致す所」と、国家主義的な編集方針を打ち出します。一方、明治三九年創刊の「少女世界」には、下田歌子や山脇房子といった女子教育の先覚者たちが頻繁に寄稿し、新しい時代に生きる少女のあるべき姿を説きました。第一部では他に、押川春浪が編集し、忠勇義烈をよしとする雰囲気の中で人気を集めた「冒険世界」や「武侠世界」、投稿雑誌として活況を呈した「穎才新誌」「少年文集」「中学世界」などを紹介します。 第二部 「童心主義」――芸術としての童話を求めて(大正)子どもたちに「芸術として真価ある」童話・童謡をとどけようと、鈴木

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