近年、「死ぬ権利」を求め、世界中で安楽死を巡る動きが活発になっている。日本で安楽死は認められていないが、だからといって、私たち日本人にとっても他人ごとではない。もし、自分が不治の病と診断されたどうするだろう? もし、自分の愛する人が堪え難い苦しみから、死にたいと告げてきたら、あなたはどんな対応をするだろう? 世界で安楽死を遂げた患者や遺族、そして医師たちを取材してきたジャーナリストの宮下洋一氏が解説する。 私は2015年末から、スイスを中心に世界6ヵ国の安楽死現場を訪ね、『安楽死を遂げるまで』と『安楽死を遂げた日本人』の2冊を出版した。 数多くの外国人を取材した前著を書き終えてから、3年半が過ぎた。あのとき、愛する人を「予告された死」で亡くした夫や妻、その手助けをした医師たちは、現在、どのような思いで生きているのか。取材を続けるなかで、安楽死の新たな側面が見えてきた。 当時、私が描いていた