非モテ人間は現代の被差別階級なのか? 異性を発情させるのがそんなに偉いの か? 文学を手がかりに、いっそ、非モテライフをエンジョイする方法を探っていこう! 今回のテキストは、あの三島由紀夫が非モテが高じて萌えに走った小説『金閣寺』です。 セレブな美男美女が悲恋に走る『春の雪』も映画化され、初めて三島由紀夫を手に取る若者も多そうな今日この頃。作品だけでなく、終生ヌード写真集を出したり割腹自殺したりのモテ技を繰り出してきた文学セレブも、非モテが高じて萌えに走る小説を書いていました。かの有名な『金閣寺』がそれです。 ネクラで体が弱い「私」は、生まれつきのどもりと見た目のためにいじめられる日々。孤独な彼の楽しみは「日頃私をさげすむ教師や学友を、片っぱしから処刑する空想」「静かな諦観にみちた大芸術家になる空想」をめぐらせることでした。「何か拭いがたい負け目を持った少年が、自分はひそかに選ばれた者だ