フーコーとクイア理論 タムシン・スパーゴ 著 / 吉村育子訳、岩波書店 「ポストモダン・ブックス」というシリーズの一冊。このシリーズ、なにやら「岩波書店」らしからぬ「軽快」な体裁と、最新の話題をチョイスした「フットワークの良さ」に注目している(『エーコとサッカー』とか『ダナ・ハラウェイと遺伝子組み替え食品』、『ヴィトゲンシュタインと精神分析』といったタイトルが興味をそそる)。 で、この本、本文もさることながら、土屋恵一郎氏の解説が抜群に良い。それはこんなエピソードで始まる。 フーコーがその来日中に定宿していたのが、新宿二丁目に通りをはさんで立っていたラシントン・パレスという小さなホテルだった。(中略)新宿通りに面して新宿二丁目のゲイ・バー街に出没するには格好の場所だ。しかしそこも実はロラン・バルトの方が先に定宿していて、バルトに教えられてフーコーはラシントン・パレスに居を構えたのだ。何を