43 ●● ヒューマンサービスと社会学 ― 相互作用としての対人援助を記述する手法 ― 中 村 正 Ⅰ 社会的交換としてのヒューマンサービス 者の倫理基準作成などが非対称性に関して意識 される必要がある。 社会福祉分野,医療・看護分野,心のケアに かかわる心理臨床分野,長寿社会のヘルスプロ モーション分野,育児や保育などの家族支援分 野,生涯学習時代に対応した教育,雇用流動化 に対応したキャリア開発分野など,ヒューマン サービスと総称できる領域が急速に拡大してい る。21 世紀は「ケア産業の時代」とまでいわ れている(広井 19971, 2000,中村 2001a) 。 この背景には,少子高齢社会,長寿社会,危 険(リスク)社会などと呼ばれるマクロな社会 変動がある。従来は,公的あるいは準公的制度 によって提供されてきた対人援助のための諸活 動が,社会の変化とともにヒューマンサー